アムステルダムで創業168年を迎えるダイヤモンドジュエラー、ロイヤル・アッシャー。数々の偉業を成し遂げた名門が史上最大の原石のカットに成功した逸話は、今も大切なインスピレーション源。愛と誇りの象徴として歴史を彩っている。
エドワード7世に献上された史上最大の原石の運命やいかに?
1854年にオランダで創業以来、最高峰のダイヤモンドを追求し続けるロイヤル・アッシャー。その白く高貴な輝きは花嫁の憧れであり、アルゼンチンから海を越えて至上の愛を実らせた、現オランダ王妃の婚約指輪でもその名を知られている。そんなロイヤル・アッシャーのダイヤモンドには、どんな歴史的エピソードがちりばめられているのか。
筆頭はやはり1908年、3代目ジョセフ・アッシャーが、史上最大のダイヤモンド原石のカットに成功したことだろう。1905年に南アフリカで発見され、鉱山主の名に因み “カリナン”と名付けられたこの石の大きさは、なんと3106カラット。しかもDカラー、フローレス、タイプⅡaという驚くべき品質だった。
2年後、“カリナン”は当時、南アを支配していた英国の国王エドワード7世に献上される。隆盛を極めていた彼は、それを巨大な原石のまま後世に残すと考える一方で、偉大なダイヤモンドとして輝く可能性も無視できず。相談した相手こそ、アッシャー一族だったのである。
2022.07.22(金)
Text&Edit=Mami Sekiya
Assistant Edit=Mai Ogawa
Photographs=Koji Yano(STIJL)