“ダイヤモンドは輝いてこそ”と国王を説いたアッシャー一族の力
ジョセフ&アブラハム・アッシャー兄弟は1907年末、ロンドンでエドワード7世に謁見。彼らは“カリナン”以前は世界最大だった995.2カラットのダイヤモンド原石“エクセルシオー”のカットを成功させ、既に名を挙げていた。そして実際の“カリナン”を目にし、噂通りの存在感に圧倒されながらも分析。その石がカットされ、研磨されれば“いかに素晴らしい英国の至宝になるか”のビジョンを国王に提案する。
そして遂にエドワード7世から“カリナン”カットの命を受けたとき、一族が担った名誉と重責は計り知れない。まずはアムステルダムまで無事運搬するため、海軍が“おとり”の空箱を携えて出港し、実際はアブラハムがポケットに入れて航海したという。
そして到着後ほどなく、アッシャー一族は“カリナン”の徹底研究を開始。同社の地下には特別室と警備付きの金庫が設けられ、新しい道具が検討された。果たして王室の至宝に相応しいダイヤモンドを生み出せるのか? 粉々に砕け散ってしまうのか?
2022.07.22(金)
Text&Edit=Mami Sekiya
Assistant Edit=Mai Ogawa
Photographs=Koji Yano(STIJL)
CREA Due Traveller 2022 vol.3
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。