最終話の「会話とつぶやき」では、コロナ禍直前の田舎町で、大島絵里が、Twitterで知り合った相互フォロワーとリアルで会う仲になる。女児の母親であるふたりは、「女の子を“女の子らしく”育てないように、便利な雑用係にしないために」できることを探し、「自分の中のミソジニーとの和解」が最重要課題と説き、自分より下の世代には、少しでも前進してほしいと願う。多摩映画祭で山内さんが書きたいと言っていたのは、こういう部分だったのではないか。
やまうちまりこ/1980年、富山県生まれ。2012年『ここは退屈迎えに来て』でデビュー。同作のほか『アズミ・ハルコは行方不明』『あのこは貴族』が映画化されている。他の小説作品に『選んだ孤独はよい孤独』『メガネと放蕩娘』、エッセイ集に『買い物とわたし』など。
にしもりみちよ/1972年生まれ。ライター。共著書に『韓国映画・ドラマ わたしたちのおしゃべりの記録2014〜2020』など。
2022.07.10(日)
文=西森 路代