太りやすい体だからこそ人類は生き延びてきた
冒頭から残念な話だが、そもそも私たちの遺伝子は「そう易々とやせないように」プログラミングされている。それはナゼか? 約400万年ともいわれる人類の歴史は、ほとんどが飢餓との戦い。生きるために動植物を獲得し、氷河期も生き延び、飢饉や戦争を経て、やっと飽食の時代を迎えた。食べ物を効率よくエネルギーとして溜めておく脂肪は、飢餓を生き延びるためにはむしろ必要な組織。「太りやすくやせにくい体」とは、人類の優れた性質なのだ。
人類の長い歴史を1年間に換算すると、飽食の時代はわずか3分間! つまり体にとっては、食べ過ぎたり、運動不足になったりするほうが「想定外」。体の立場にしてみれば、「急にやせたいといわれても困ります!」といいたいところだろう。
お話を伺ったのは……
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アオハルクリニック内科部長、順天堂大学大学院加齢制御医学講座准教授
青木晃先生
アンチエイジング医学の第一人者として、クリニックやレストランのプロデュース、各メディアや講演会での指導など幅広いフィールドで活躍
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タニタ開発部開発企画課課長
西澤美幸さん
栄養士として体組成計や歩数計などの自社製品開発に携わる。また、『続・体脂肪計タニタの社員食堂』(大和書房)の監修を担当
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タニタ開発部生体科学課
小澤智子さん
管理栄養士。活動量計や体組成計などの自社製品開発やJリーグ所属選手をはじめスポーツ選手の栄養指導などを行う
2011.08.25(木)
text:Kyoko Nagashima(Lush!)
photographs:Kentaro Mori(portrait) / Hirofumi Kamaya(still life)
CREA 2011年2月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。