マンガには、読むひとそれぞれの楽しみ方がありますから一概には言えませんが、最大の魅力はしいて言うなら世界、社会をまるごと体験できることではないかなと。
ひとつのマンガのなかに、様々な社会問題や戦争、恋愛も友情も家族愛もみんな入ってる。大きさや形は変えてても実は入ってるんです。特に少女マンガは人間の内面を掘り下げていく物語が多いです。わたし自身、昔読んだ作品がまるで『自省録』のように自分に深く刺さったことが何度もあります。たったひとつの画や言葉だけで、その世界に没入し泣いたり笑ったりできる。そこにいることができる。自分の時間で。音すら聞こえてきそう。それって他のものでは得難いのではないかと思います。
2022.06.30(木)
文=「文藝春秋」編集部