並行して少年漫画系も割と読んでいました。石ノ森章太郎先生の『サイボーグ009』は、小さいころに先にアニメを見ていて、マンガを読みはじめたのは中学校に入るころ。中学2年のときはちょっと学校がしんどかったのですが、心の支えになったりしました。サイボーグ戦士の紅一点、003のフランソワーズ・アルヌールになりたかったんです。彼らと一緒に戦いに行きたかった。まあある種の逃避だったんですけど……。

 中学の頃から友達とマン研(マンガ研究会)を作って楽しく描いてたんですが、マンガ家になろうとはまだ思ってなかったように記憶してます。ノートに鉛筆レベルでした。

 仲間たちがぼちぼち投稿などを始めたのでそれに触発されて、高2の時、はじめて原稿として仕上げた作品を『別冊少女コミック』に投稿しました。そしたら月例賞の佳作に選ばれ、2作目では小学館の編集者さんから電話がかかってきたんです。「ぼくが担当になります」と言われた時の感動は忘れられません。ただ「喜んでる場合じゃないよ。まだレールに乗ったってだけだからね」と釘も刺されました。突然マンガ家の世界が近くなりました。

 

教育実習生の先生の一言に発奮

 それでも、高校3年生になって、いざ進路を決めるときには相当悩みました。そこで、東京の美大を出て地元に帰ってきた教育実習生の先生に相談してみたんです。そしたら「女の子だから好きなことやっていいんじゃないの。男はそうはいかないけどさ」

 なんとそんな言葉が。女は夢破れても嫁にいけば済むからいいよね、と言われたようでした。猛烈に腹が立って、帰り道、火を吹くように自転車を飛ばして帰りました。でも、あの一言のおかげで絶対にマンガ家になるぞと思うことができたんです。今思うと、「男はそうはいかない」という所が問題なんじゃないかと思うんですが……。

 東京に出てからはデザイン学校に通い、あちこちのマンガ家さんのアシスタントをしながら2年ほどでデビューできました。続けることが難しいよと編集さん方によく言われましたが、どうにかこうにかここまではやってこれて、来年でデビュー40周年です。

2022.06.30(木)
文=「文藝春秋」編集部