幻想的な亜熱帯雨林を探索する
![多雨林地域に向かう途中には、カンガルー注意の標識が。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/b/c/1280wm/img_bcd69aec3f3c4f3424c351697c2a5b03626823.jpg)
世界にも類をみない自然と生態系が奇跡のように息づくオーストラリア。世界遺産に登録されている大自然は、複合遺産も含めて計16件にのぼります。
なかでもゴールド・コーストから気軽に行ける世界遺産としておすすめなのが「オーストラリアのゴンドワナ多雨林地域」。
青く輝く海が広がる市街から車で約1時間。のどかな牧場地帯を抜けて目指すは、世界遺産の一部となっているスプリングブルック国立公園のナチュラル・ブリッジ地区。
![海岸線を少し離れるだけで、こんな風景が広がっているのもオーストラリアならでは。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/9/7/1280wm/img_975cba0ad34beb570e4e1b73cac2dba6613661.jpg)
数億年前にはアフリカ、南米、南極、インド亜大陸などとともにゴンドワナ超大陸の一部だったオーストラリア。
その南東部には、その時代にまで歴史をさかのぼる貴重な多雨林地域が広がっています。
![スプリングブルックのお隣、ラミントン国立公園の山々。こちらも世界遺産に登録されています。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/8/1280wm/img_5880d8ed9b076d0b4662ab093fb55ec3448889.jpg)
さて、ナチュラル・ブリッジの入り口に到着。週末とあって、小さな子どもたちと一緒に散策を楽しむ家族の姿も。
歩きやすいウォーキングトラックが整備されているので、靴もスニーカーなどでOK。特別な準備は必要ありません。
![ナチュラル・ブリッジへと向かうウォーキングトラックの入り口。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/f/6/1280wm/img_f6dbaf412e0c02d642a684c509ba113f964388.jpg)
![雨林には多様な生命が宿っています。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/6/1280wm/img_56c521ce0f5697a79b81020e427c1e9e1113246.jpg)
鬱蒼とした雨林に入ると、そこは幻想的な雰囲気。数千万年という時の流れと、地殻変動のダイナミズムに思いを馳せれば、この森の圧倒的な凄さをさらに実感できます。
![天から根を下ろす〈Strangler Fig (絞め殺しのイチジク)〉。宿主となった木は朽ち果て、中は空洞になっています。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/4/1280wm/img_44252dc60eddbf287364d4e5e9ec2b011879041.jpg)
壮観だったのが〈絞め殺しのイチジク〉。鳥によって運ばれた種子が木々の枝で発芽し、宿主となった木を絞め殺すように巻き付いていく植物で、木々の世界にも “弱肉強食” があることに驚きます。
![静かに根を下ろす木々にもさまざまな物語が。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/a/8/1280wm/img_a8cc634801d7f3bcfd1a4dbdc7d2a4c5675486.jpg)
![小さな生命を愛でながら散策を満喫。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/8/6/1280wm/img_86a67e0e79abeaa0533c64b27574a061494620.jpg)
最大の見どころが、地区の名前にも冠されている〈ナチュラル・ブリッジ〉。気が遠くなるほどの長い歳月をかけて生まれた、文字通り “自然の橋” です。
![美しいアーチを描く〈ナチュラル・ブリッジ〉。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/1/1280wm/img_71314808edb7e63ab6df52c5a27307f9771566.jpg)
アーチをくぐると洞窟が広がっていて、降り注ぐ光とともに流れ落ちる滝が、神秘的な光景を作り出しています。
![岩が侵食されて生み出された造形美に驚嘆。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/7/1280wm/img_477c220d9fbf31e8c529c9b46d5cc5a3393922.jpg)
さらにこの洞窟は、“土ボタル” が生息していることでも知られています。
![昼間はただのゴツゴツとした岩肌ですが……。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/f/2/1280wm/img_f2f8dfe41bb364e24e428dab75bf2c5a466180.jpg)
明るい日中は見ることはできませんが、夜になると岩肌にほのかな光が。
![神秘的な光を放つ土ボタル。『天空の城ラピュタ』の飛行石のモデルになったとの “伝説” も。photo:Tour Gold Coast](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/c/1/1280wm/img_c178f418cc9d32de6a17aaf28e308650190065.jpg)
この土ボタルを観賞するツアーもあり、「ツアーゴールドコースト」が開催のものは日本語ガイドが同行。多雨林の生態系から南半球の星空まで、知識豊富なガイドさんが案内してくれます。
![土ボタルの正体は、ヒカリキノコバエの幼虫。オーストラリアとニュージーランドのごく一部にのみ生息しています。photo:Tour Gold Coast](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/3/1280wm/img_73c1bfabdbab5e24d0c3fcb5e690b056385931.jpg)
![ナチュラル・ブリッジ地区へは、公共交通機関で行くことはできないので、レンタカーやツアーを利用して。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/3/3/1280wm/img_33db0d094dd9f42b8070a1f5760d97331446030.jpg)
ビーチリゾートとしてお馴染みのゴールド・コーストですが、個性的な動物たちとふれあえる自然保護区、野生のイルカに会える島、さらに神秘的な亜熱帯雨林と、オーストラリアの魅力がぎゅっと詰まったエリアなのです。
2022.06.20(月)
文=矢野詔次郎
写真=鈴木七絵
協力=オーストラリア政府観光局