TRIP 2. オーストラリアは、大自然の恵みが満載の美食大陸!

一度でもオーストラリアを旅したことのある人が、口を揃えて賞賛するのが「食事がおいしい!」というところ。
雄大な大陸では上質な食材が育まれ、周囲の大海原からは新鮮な幸が届き、さらに世界が注目するシェフも続々登場……。まさに美食を目的に旅したい国なのです。
さて、レストラン選びの際にぜひ参考にしたいのが『Good Food Guide』。
オーストラリアで40年の歴史を誇る “格付けガイド” で、カフェ・バーからガストロノミーまで網羅。ウェブサイトには最新グルメ情報が満載です。

そんなグルメガイドで高評価のレストランがひしめく街といえば、最大都市シドニー。なかでも2016年の開店以来、国内外の食通たちに大絶賛されているのが、パディントンにある「セント・ピーター」。

厨房を率いるのは、1988年生まれのシェフ、ジョシュ・ナイランドさん。魚料理の新たな可能性を引き出した、世界が注目する若手料理人です。


すっきりとした店内は、カウンター席のみ。コロナ禍に伴い、これまでのテーブル席から、まさに全席が “シェフズテーブル” というべきスタイルにリニューアル。
シェフの卓越した技を間近に見ながら、特別な美味を堪能できます。

ナイランドさんの料理の真骨頂といえば、一匹の魚の頭の先から尻尾の端までを余すことなく使い切るところ。しかも環境負荷の少ない漁法で獲った天然ものがお皿の上の主役。
エシカルかつサステナブルを意識したレストランとしても注目なのです。
そんなシェフのクリエーションの原動力となっているのが、「魚はもっとおいしくできるはず」という魚介への強い愛情でした。

日本に魚を扱う優れた技術があるように、オーストラリアにはお肉の調理に関しては豊富な知識と経験がある。「それなら、お肉と同じように魚を調理してみたらどうだろう、と思ったのです」とシェフ。
そこで編み出されたのが、魚をドライエイジングするという独自の手法。
良質な素材の旨みが繊細に引き出され、添えられるソースも魚の骨や内臓などからじっくりと作られたもの。その凝縮した旨みに驚くばかりです。

さらに驚いたのが、マトウダイのチョップ。まるでラムチョップのように魚の骨を巧みに生かし、上にのった魚のレバーパテの濃厚さは、まるでフォアグラそのもの!
濃ゆいソースをからめれば、魚料理だけれど赤ワインを合わせたくなるほどです。
オーストラリアといえばオージービーフもいいけれど、「今、断然食べたいのは魚」だと実感。
なお、予約は3か月前から受け付け。オンライン予約もできるので、まずは空席チェックを。また、レストランの並びにはシェフがプロデュースする「FISH BUTCHERY(魚のお肉屋さん)」も。ぜひ立ち寄ってみて。
2022.06.17(金)
文=矢野詔次郎
写真=鈴木七絵
協力=オーストラリア政府観光局