それでもやっぱり演技する二宮和也が観たい。……と思っていた21年の1年間を経て、22年の正月、スペシャルドラマ「潜水艦カッペリーニ号の冒険」(フジテレビ系)に主演。彼の代表作であるイーストウッド監督の「硫黄島からの手紙」や山田洋次監督の「母と暮せば」などのように戦争もの、昭和ものの似合う俳優という印象を改めて感じさせてくれた。

 二宮和也には古き良き日本人の心というような、日本の息子代表みたいな雰囲気があった。

 それが「マイファミリー」はうって変わって、ゲーム会社の社長役で父親という本人の実生活とも少し重なる部分も取り入れたかのようなオリジナル現代もの。古き良き日本人の息子代表のようだった二宮が親となり大人世代になったことを示す新たな役柄になったといえるだろう。

 さすがと感じるのが、温人が仕事や交渉に疲れたときの雰囲気のリアリティー。風呂にも入らず労働する人間を細胞レベルで演じて見せる二宮。日本の息子から、働く日本の大人代表になったといえるだろう。この後は映画「TANG タング」、「ラーゲリより愛を込めて」が控えている。

 二宮の連ドラ主演で、活動休止後の嵐のメンバー(大野智を除く)がひと通り、連続ドラマに主演したことになる。ここで、ほかの3人のこの1年間の俳優活動も振り返ってみたい。

庶民的で不器用な役も演じる、松本潤

 まず、松本潤。23年の大河ドラマ「どうする家康」(NHK)に主演が決まっていて、撮影に向けて準備が着々と進行しているようだ(「鎌倉殿の13人」は21年6月、「青天を衝け」は20年7月にクランクインしている)。国民的番組・大河で国民的ヒーロー・徳川家康とはかなりの重責であろうと期待と注目を一身に浴びる松本は、日曜劇場(TBS系)のヒット作「99.9-刑事専門弁護士」が21年暮れに映画化、22年1月期にはドラマ「となりのチカラ」(テレビ朝日系 木曜よる9時~)に主演し、ドラマ、映画と着々と活躍している。

2022.06.05(日)
文=木俣 冬