結局、娘はダウン症ではなかったのですが、私はその悩んだ時期のことを、すっかり忘れていたんです。

 今回、白鳥さんといろいろ話してるうちに、それが蘇ってきたんです。あの気持ちにもう一回向き合わなければ、と思った。あの気持ちの正体はなんだろう、って。

 白鳥さんは「自分の活動を通じて障害者の立場をもっとよくしよう!」なんてことは1ミリも考えていないんだけど、私自身が障害に対して感じたこと、考えたことを、どうやったら本に込めていけるんだろう、という目的が途中からできて、そこからまた挑戦が始まった気がしますね。(#2に続く)

(文:剣持亜弥、撮影:市川勝弘)

「対話型鑑賞で“黙っていてもいい”と言うと驚かれるけれど…」 全盲の白鳥さんが“音声ガイド”や“触るアート”に興味を示さないワケ へ続く

2022.05.21(土)
文=剣持亜弥
撮影=市川勝弘