店舗ごとにレーベルの比率をカスタムする発想

 各レーベルは、LB.01/高級ドレス、LB.02/高品質カジュアル、LB.03/現状のナノ・ユニバースを引継ぎながらアップデートしたライン、LB.04/EC向けアイテム、アウトレットアイテム、ライセンスアイテムをレベルアップしたライン、LB.05/TSI内のブランドやそことのコラボアイテム、LB.06/外部のブランドと位置付けられた。

 その上で、店舗の立地や客層などを個々に精査し、どのショップにどのレーベルの商品をどんな割合で並べるのかを決めていくという。

「極端な例で言えば、路面店である渋谷神南店はLB.01とLB.02の尖った高級ラインしか置かないとか、ファッションビル内の店舗は客層がバラエティに富んでいるので、LB.01からLB.06まですべてを揃えた幕内弁当みたいな商品構成にするなど、店舗に合わせてレーベルのバランスを適切に変えていくことが重要と考えています」

 中目黒や代官山にLB.02だけしか置かない10坪のナノ・ユニバースがあってもいいと話す中田さん。LB.01からLB.06までのアイテムをどう組み合わせるかによって、お店の可能性は無限大に広がっていく。

「マルチレーベルストアになった店舗では、昔のセレクトショップのような宝箱のようなワクワク感とか、いろいろなものが内包されている楽しさを感じてほしいです。それぞれの店で品揃えが変わるので、自分の生活に合っているショップを見つけていただければ一番嬉しいですね」

新たな店舗デザインはニュートラルな雰囲気に

 そして、この3月からナノ・ユニバースのリブランディングがスタート。ロゴを含め、公式オンラインストア(https://store.nanouniverse.jp/jp/)もデザインを一部改修した。

「これはゴールではなく、改革のスタートです。25周年にあたる2024年に向けて少しずつ変わっていきますので、その過程も楽しんでいただきたい」

 店舗の内装もこれまでのヨーロピアン・トラディショナルな雰囲気からニュートラルな雰囲気に変えていくという。洋服が主役であるというショップコンセプトをより積極的に打ち出していく方針だ。

サステナブルに配慮したショッパーやハンガーを制作

 サステナブルに配慮して、ショッパーは取手も含めて染色や加工のない未晒しの紙を使用している。以前はアイテム別に複数のショッパーが用意されていたが、その型数も減らした。ハンガーの素材には、消臭効果もある檜の間伐材を使っている。再利用しやすいようにロゴは入れず、代わりに引っ掛ける部分を靴下のようなもので覆い、そこにロゴを入れた。什器は木材を使用し、組み替え式にすることで、改装などの際に柔軟に対応できるようになっている。

「ぜひいろいろな店舗に足を運んでいただき、店ごとの違いを楽しんでいただけると嬉しいです。その上でお客様ひとりひとりが、自分のライフスタイルや感性に合うお気に入りのナノ・ユニバースを見つけていただければ」そう話す中田さん。

 新生ナノ・ユニバースのリブランディングはまだ始まったばかり。これからの進化が楽しみだ。

ナノ・ユニバース

https://store.nanouniverse.jp/

2022.04.09(土)
文=石川博也
撮影=杉山秀樹