――農村に外道が現れた!(笑) 

永野 今っていいことしか言わないじゃないですか? いいことを言う時代。でも僕はいいこととか言いたくないんですよ。ただ盛り上がることだけ言っていたい(笑)。以前、番組収録で起業家の方が、世の中的にはすごくいいだろうことを言うみたいなくだりがあって。「お金を稼ぐにはこういうことが必要だ」とか丁寧にいいことを言っているんですけど、途中で俺、気分が悪くなっちゃって。みんなが良いことしか言わない雰囲気って、疲れないのかなって。

 

 本能とか衝動でやりたいこととか動いちゃうことってあるじゃないですか。笑いもそうですけど、技術論みたいなことを言われると萎えるんですよ。正解なんかあるわけないのに、さも正解かのように言ってくる。そういうのがすごい嫌で。

お笑いは「イケてる奴が勝ちますよ」

――永野さんには、現在のお笑いってどう映っているんですか?

永野 もっとわがままでもいいんじゃないかなとは思います。純粋ぶってんじゃねぇよとか思われるかもしれないけど。僕は文句ばっかり言ってるし、周りに合わせないから、なおのことそう思う。自分が面白いと思うことをやるのがいいと思うんですけど、今はスポーツになっているところがあるから、勝つことを意識しちゃいますよね。ただ……お笑いって、汚ったねえ冴えない奴がやるもんだと思っていたんです。でも、最近気が付いたんですけど、そうじゃなくてイケてる奴が勝ちますよ。後輩とか見てても、体がしっかりしていて、「こんにちは!」とか挨拶もきちんとできる奴の方がいいんだなって。

――だと思います(笑)。

永野 俺みたいな常時、親の敵を討つみたいな目をしてるような奴はダメなんだなって。みんな、表情がキレイなんですよね。だから最近は、「人気者になりたい」とか「モテたい」っていう動機も、それはそれで本音だろうからいいんだなって。僕みたいな考え方は、呪いにしかならないからおすすめできない(笑)。

2022.02.07(月)
文=我妻 弘崇