結果、卍と同じく、ぴえんも「JC・JK流行語大賞2019(コトバ部門)」で1位を獲得。若者言葉として、一般に認知されていく。また「JC・JK流行語大賞2020上半期コトバ部門」では、よりぴえんな状態を指す「ぴえん超えてぱおん」という言葉も5位にランクインしている。

 

メンヘラ系女子が「ぴえん」を用いはじめて

  多様な意味で使われる「ぴえん」という言葉だが、次第に行動様式の意味を持ち始める。発端はメンタルに病を抱えるいわゆるメンヘラ系女子が、自身のSNSで精神的に落ち込んでいるときの病み投稿の語尾にぴえんを用いはじめたことだ。

「死にたい。ぴえん......」

「眠剤、大量に飲んじゃった。ぴえん......」 精神に病を抱える女性たちのなかで、「ぴえん=ネガティブな行為」というイメージでも認知されるようになる。自傷行為をした写真とともに「ぴえんしちゃった......」、路上で泥酔していることも「路上でぴえんしちゃった!」なんて投稿が次第に増えはじめる。 最初は絵文字記号だったぴえんは「ぴえん顔」と「ぴえん」という記号と言葉に分離し、 最終的にそうした言葉を使う女子たちの行動を表す代名詞のような役割を担っていく。

 冒頭の会話にある「はぁ~......。今日はパパ活で5万引くつもりだったのに、3万円しか引けなかった、マジぴえん」の「ぴえん」は、パパ活で3万円しか引けなかった行動とそれによる自分の気持ちを表しているのだ。

2022.02.02(水)
文=佐々木チワワ