海の彼方の観音浄土を目指す「補陀落渡海」
那智勝浦で向かったビーチは那智の浜(ブルービーチ那智)。緩やかな孤を描く800メートルほどの穏やかなビーチで、県内随一の長さを誇ります。
ブルービーチ那智では、平安時代から江戸時代まで篤き信仰の儀式「補陀落渡海(ふだらくとかい)」が行われていました。
これはブルービーチ那智近くの補陀洛山寺の僧侶が、南方沖にあるという、観音菩薩がいらっしゃる霊場の“観音浄土”に向けて、小舟で旅立つというもの。
僧侶は朝廷から“上人”という称号を授けられ、補陀落渡海に挑みます。
30日分の食糧と燃料をのせた小舟に上人は乗り込み、扉はクギが打ち付けられます。そして呪文を唱えながら、伴船に曳かれて大海へ。
上人は人々の苦悩や悩みを背負い、観音菩薩の救いと悟りを求めて、篤い信仰と希望を胸に観音浄土へ旅立ったそうです。
補陀落渡海はこれまで20数回、行われていたと記録が残されています。
1,000年以上続く熊野古道、浄土を信じて船出する僧侶、人々の厚い信仰にも触れた旅でした。
那智勝浦
●アクセス 名古屋駅よりJR紀勢本線にて特急で紀伊勝浦へ、約3時間50分
●おすすめステイ先 ホテル浦島
http://www.hotelurashima.co.jp/
取材協力/那智勝浦観光機構
https://nachikan.jp/concept/
Column
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2022.01.29(土)
文・撮影=古関千恵子