さすが世界遺産! スゴさを体感!

 2021年に「奄美大島、徳之島、沖縄島北及び西表島」として世界自然遺産に登録され、注目が集まる沖縄本島北部の“やんばるの森”。

 その魅力に触れるアクティビティには様々なものがありますが、今回は“ガイドツアー”に着目。

 やんばるを知り尽くした地元ガイドが教える、目の付どころや楽しみ方などコツを知ると、これまで気づかなかったモノが見えてくる!

 豊かな沖縄本島北部のやんばるを、一歩踏み込んで、感じられるはずです。

やんばるの豊かさ、美しさをより深く知る方法

 “やんばる”とは「山々が連なり、森の広がる地域」という意味の“山原”が、地域で使われるうちに変化していったものです。

 エリアとして明確には分けられていないものの、ざっくりといえば、沖縄本島の名護より以北。さらに北上した大宜味村、国頭村、東村の“やんばる3村”までくると、自然の濃度がグッと増します。そしてやんばる3村の奥地に広がる希少な亜熱帯の森林が、世界遺産に登録されました。

 世界遺産に選ばれた理由は、大陸から分断された琉球弧の島々に暮らす生物たちが独自の進化を遂げ、このエリアのみの固有種が多いこと。その保全の必要性が認められたからです。では、どうして多くの固有種が育まれてきたのでしょう?

 豊かな生物相を育むやんばるの森は、まさに奇跡の地。この森が位置しているのは、北緯27度付近。世界の同緯度を見ると、リビアやインド、メキシコなど砂漠や乾燥したエリア。それがやんばるの森の場合、赤道付近から流れてくる温暖な黒潮や梅雨前線によって雨に恵まれた、亜熱帯海洋性気候なのです。

 やんばるの森は国内最大級の亜熱帯照葉樹林。この森を特徴付けているのは、スダジイやオキナワウラジロガシというブナ科の植物です。スダジイは肉厚の葉っぱの表がつるつるとした緑色、裏は金色の毛がびっしりと生えています。この葉が太陽光にきらきらと反射して、文字通り“照葉”となり、森全体が輝いて見えるとか。このスダジイが森林の半数以上を占めています。

 やんばるの森は日本全体からすれば、わずか0.1%に満たない小さな面積です。そこに驚くほど多種多様な動植物が暮らしています。鳥類は日本全体の約半分、在来のカエルは約4分の1もの種類を数えます。多くの種類の生き物が密につながり、環境に適合して、複雑な生態系を作り上げているのです。

 もちろん普通にトレッキングするだけでも、やんばるの美しさ、豊かさは伝わってきます。けれど、自然のメカニズムや目の付けどころ、楽しみ方を教えてくれるガイドさんによって、面白さが倍増します。

 今回はやんばるを深掘りするガイドツアーを3つ厳選。参加後には自然に対する考え方が変わるはずです。

2022.01.22(土)
文・撮影=古関千恵子