体力がなくても大丈夫。深き森を行く、エコな電気バスガイドツアー

 環境への影響を考慮したCO2排出ゼロの電気バス「やんばる黄金(くがに)号」で行く、やんばるの森ツアー。

 バスツアー用に、路線バスとして作られた車体の窓を大きく改造。車の前にはカメラを設置し、横切る生き物たちの姿もキャッチ。あらゆる角度から森を感じられる工夫がなされています。

 所要時間は基本コースで約2時間。「道の駅ゆいゆい国頭」から出発し、今回体験したのは、比地川沿いを上り、大国林道を縦断して、比地川に戻るコース。

 今回のガイドの上開地広美(かみがいち ひろみ)さんは、バスで通過しながら目にするもの、耳にするもの、森にまつわるあらゆることを、行程中、途切れることなく解説してくれました。

 比地農道を進み、標高が低く明るい場所に多く生息する、葉っぱが丸いオオバギの“若い森”から、登っていくにしたがいスダジイが徐々に増えていきます。

 「ジワワワージー」というセミの鳴き声は、リュキュウアブラゼミ。地元では鍋をたわしで洗う音に似ていることから、方言では“なーべかちかちー”と呼ぶそうです。標高が上がるにつれ、セミも大合唱となり、種類が増えていくのがわかります。

 「ヒュルルルー」という鳴き声は、リュウキュウアカショウビン。夏にやってくる渡り鳥で、いわゆる“夏鳥”。冬にやってくる“冬鳥”もいて、やんばるで見られる300種の鳥類の9割が渡り鳥だそう。季節で入れ替わりがあるために、多くの鳥類がここで見られます。

 また、やんばるは日本で一番カエルの種類が多い森でもあります。冬眠をせず、夏と冬それぞれに繁殖する種類のカエルが生息。おまけに繁殖場所も水の流れなどによって種類が異なるため、日本全体の4分の1もの種類が共存しているそうです。

 時にバスから降りて、林道を歩くこともあります。ヒカゲヘゴの群生エリアでは恐竜時代へタイムトリップした気分。ヒカゲヘゴは本来まっすぐに伸びるところが、台風などにより斜めになると、“不定根”というモジャモジャの根を幹から垂らして倒れないように支えるそう。それが、名産品としてお土産店に並ぶこともあるとか(東南アジア産ですが)。

 湧き水近くではクモの巣の作り方により、獲物が異なることを説明。そんな生物の生態や、他の生き物とのつながりも教えてもらえます。すると、森の見え方が変わってくるから不思議です。

 道路上での生き物たちの事故“ロードキル”や、ギンネムやマングースなどの外来種といった、環境問題も話題に上ります。ガイドさんの知識の豊富さに感心しつつ、いろんな生物が調和しながら暮らす森の豊かさと、人のちょっとした行為で壊れてしまう自然の危うさも学びます。

 ツアー終了後は、すっきりと、すがすがしい気分。そうなるのは、癒やしの効果が実証されているという“セラピーロード”を走ってきたからかもしれませんね。

電気バス「やんばる黄金(くがに)号」で行く、やんばるの森ガイドツアー

料金 7800円
所要時間 約2時間
https://www.japawalk.com/campaign/yambaru_kugani.html

2022.01.22(土)
文・撮影=古関千恵子