「昭和の音楽でLAの2000人が合唱する不思議な世界線に僕らは生きています。」
2.6万いいねを記録したツイートに映っていたのは、韓国出身アーティストNight TempoのDJにあわせて、ロサンゼルスの人々が泰葉の1981年作「フライディ・チャイナタウン」を熱唱する光景だった。
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TikTokに届いた「フライディ・チャイナタウン」旋風
シティポップを中心とする70~80年代邦楽のグローバル人気は、ますます過熱しているようだ。音楽配信サービスSpotifyによると、1984年作「プラスティック・ラヴ」がシティポップ・アンセムとなった竹内まりやのリスナー層は18~22歳が最多だという。
同じくアンセム的立ち位置である松原みきの70年代ヒット「真夜中のドア~Stay With Me」は、2020年、同サービスのグローバルバイラルチャートにて18日連続首位を記録。世界中にユーザーを抱えるSpotifyにおいて、半数以上のリスナーが22歳以下だという松原は、今や“若者に人気”のアーティストだ(いずれも2021年7月時点、Kompassより)。
そして、新たな旋風を巻き起こしている80年代ヒットこそ“FLY-DAY(跳ぶ日)”と冠された「フライディ・チャイナタウン」である。夜の中華街をさまよう主人公が外国人とすれ違いながら「私も異国人ね」と悟る同曲は、リリースから40年の時を経て、海の向こうへと飛翔し“異国”の音楽として海外の若者たちを熱狂させることとなったのだ。
「フライディ・チャイナタウン」人気は、若者文化の震源地TikTokにも届いている。ただし、TikTok上でよく使われているサウンドは、フィリピン在住アーティストEVADE FROM 宇宙の「フライト 日 '89 (FRIDAY)」、オーストラリア在住Aestsによる「fight!」といったリミックス版だ。
これらは、フューチャーファンクと呼ばれるインターネット発の新興ジャンルサウンドとされる。フューチャーファンクの定義は難しいが、一般的に、シティポップ等のレトロ調音源を引用し、明るくダンサブルに変換するスタイルの楽曲が多い。
2022.01.28(金)
文=辰巳JUNK