「朝ドラに出るってこういうことなんだ!」

――『さがす』の撮影は、朝ドラの「おかえりモネ」とちょっとだけかぶったそうですね。役の切り替えに問題はなかったですか?

 同時に2つの役を演じることに関しての抵抗はないです。多分、同時に4役くらいなら、切り替えはできます。ただ、仕事に限らずプライベートでも急がされるのが苦手で、ゆとりがほしい人間ではありますね……。

――朝ドラを振り返るとどういう経験でしたか?

 オンエアが始まってから、初めて気づきました。「朝ドラに出るってこういうことなんだ!」って。

――どういうことでした?

 まず、来る連絡の数が桁違いでした。親しい友だちはどんな作品でも「あれ見たいんだよね」「おもしろいの?」と言ってきたりするんですけど、「おかえりモネ」は何年も連絡を取っていない友達や、地元の友だちからも連絡が来ました。基本的に映画もドラマも見ないけど、朝ドラだけは見る人っているんですよね。母数の違いを実感しました。沢山の方に知って頂くことができて、役者として素晴らしい経験をさせてもらったと思います。

――コロナ禍について質問させてください。清水さんが20歳の頃からコロナ禍となり、予定されていたものが変更になったこともあると思います。どう心の折り合いをつけましたか?

 人としては、わりと沈んだ時期がありました。仕事に関しては正直、仕方のないことだと思ってたんで。コロナ禍が開けた後、それまでと同じペースで仕事をいただけるのか、一瞬不安になった時期ももちろんあります。コロナ禍で夢を諦めた若者がめちゃくちゃいると思うので、そこは他人事とは思えなかったですし。

 最初の緊急事態宣言のあとの2〜3ヶ月は、すべてがストップしていたので、本当にずーっと家にいて、友達にも会えなくて。病むまではいかないですけど、時間を無駄に浪費している感覚と、変わらない現状とで、だいぶ沈みました。感染したらダメなので、身体は元気なのに家から出られない。だからエネルギーを持て余してしまって。

 日常的に自己表現をする仕事をしてきたので、アウトプットする作業が一気になくなって、体に淀んだものが溜まった時期はありました。

 ぼちぼち仕事が再開していって、今もまだ気が抜けない状況ですけど、日常的にお仕事をさせてもらえることのありがたみをすごく実感しています。毎日が楽しいし、お芝居をさせてもらえることの幸せを、コロナ禍を経て改めて実感しています。

 2021年を振り返ると、念願のアニメの声優や朝ドラなど初めてのことがたくさんあって、ターニングポイントだったなと思える1年でした。『東京リベンジャーズ』は大ヒットしましたし、『さがす』の撮影も2021年でした。目まぐるしくたくさんの経験をさせてもらいながら、「お芝居って楽しいな」とより強く思うようになりました。

 2022年も気を引き締めて、コロナ禍ですべてが止まってしまったことで溜まったエネルギーを爆発させてやりたいなと思っています。

2022.01.21(金)
文=須永貴子
撮影=鈴木七絵