#239 Okishima
(沖島、琵琶湖/滋賀県)
「日本一大きな琵琶湖に人が暮らす島がある」と聞き、がぜん、興味津々。
しかも淡水湖における有人島は国内で唯一、世界的に見ても貴重な存在だというのです。その島の名前は、沖島。
湖のほぼ中央のやや東寄り、滋賀県の近江八幡の沖約1.5キロに位置する、琵琶湖最大の島です。
本土の堀切港から通船「おきしま」で約10分。こんもりと緑の山をのせた沖島が見えてきます。
やがて湖岸にそって軒を連ねる民家の前を通り過ぎ、船はゆっくりと沖島漁港へ入港していきます。
周囲約6.8キロ、面積にして1.53平方キロメートル、人口は270人(2018年)。
人が定住するようになったのは保元・平治の乱以降で、源氏の落人7名が島の山裾を切り開き、漁業を生業としたのがはじまりとされています。
島の中心地は、沖島漁港付近。沖島名物の三輪車に乗った島民が時折、行き過ぎます。この島には信号機はもちろん、車やバイクもなく、三輪車が主要な移動手段になっています。
湖岸から一本、内陸へ入ると、“ホンミチ”と呼ばれる幅は1~2メートルくらいの小道が約650メートル続いています。道を挟んで両側に民家が連なり、中には舟板を外壁に貼っている家も。
道を挟んでお隣さん同士が立ち話をしているところへ、また別の知り合いがやってきて話の輪に加わり……。沖島の暮らしぶりが伝わってきます。
2022.01.15(土)
文・撮影=古関千恵子