息のあった夫婦だからできる“沖島特有の漁”とは
そのままホンミチを進み、明治8年に開校したという沖島小学校へ(現在の位置には平成7年移転)。さらに進むと、舗装道はなくなり、畑の合間の細道に。時折、イノシシ除けのセンサーが感知して、おどろおどろしい音に驚かされることもしばしば。
沖島小学校が遠泳大会に使用、整備している杉谷浜を越え、木々のトンネルを抜け、そして最近は縁結びの神様になりつつあるという弁財天様に到着。島の東岸を行く、沖島漁港から往復約1時間の整備された散策コースです。
今回のお宿の「漁家民宿 湖上荘」は、西のはずれにポツンと立つ、島で唯一の民宿。湖に張り出したテラスから、比良山系や比叡山、琵琶湖大橋などがパノラミックに一望できる絶景宿です。
こちらの“漁家民宿”である湖上荘では女将から、島の漁業、生活文化に関して、貴重なお話をうかがえます。
興味深かったのは、沖島特有の「鮎(あゆ)小糸漁」。これは真夜中に、船上に築いた高さ3メートルもの足場にのぼり、夫婦で協力して行う漁。カンテラが照らし出す明かりのみで、波で揺れる高い足場での作業は、息のあった夫婦だからできること。そして春から夏にかけてのシーズン中は、沖に明かりをともした船が並び、ポイントによっては宿からも漁の様子がうかがえることがあるとか。
2022.01.15(土)
文・撮影=古関千恵子