伝統的な郷土料理「鮒ずし」をいただく
そんなお話をうかがいながら、いただく夕食は湖魚三昧。ゴリやビワマス、ヒラスゴなど、アユ以外はほとんどが聞いたこともない名前の魚ばかり。淡水魚だからあっさりしているのかなと口に運んだら、どれも脂がのって美味! 調理法なのか、骨までおいしくいただけました。
そして今宵のメインは、名物の鮒ずし。“鼻をつく強烈な匂い”でその名を馳せる、伝統的な郷土料理です。
湖上荘の鮒ずしは強烈な匂いはしません。おそるおそる一口食べてみると、「ん! なにこれ、おいしい!」
沖縄の“豆腐よう”のような香りと味わいが口の中に広がり、後味に“からすみ”のような余韻が残ります。お酒がすすむ旨さ。
鮒ずしは琵琶湖の固有種のニゴロブナを塩漬けにし、米で発酵させた伝統的な保存食。酢飯ではなく、発酵時の乳酸菌によって酸味が生まれる、いわゆる“なれずし”です。お正月など、特別な日にいただくごちそうです。
卵を抱いた4~6月頃のニゴロブナが珍重され、気候や米の敷き方、重しの乗せ方、手水の塩梅、保存場所によって出来具合が異なります。なので、同じ味は二つとないとも、いわれています。
今回は湖上荘の女将が漬けた2年物。はじめての鮒ずし作りは「失敗したら1年間、食べられなくなる」と気がかりで、なにかにつけては桶を見ては時間が経ったとか。
衝撃的な鮒ずしとの出会い。これから、もっといろんな鮒ずしに挑戦したいと思えた、最初の出会いに感謝です。これは旅と共通するかもしれませんね。
沖島
●アクセス 京都駅からJR東海道本線・琵琶湖線で「近江八幡駅」へ約30分。「近江八幡駅」より近江鉄道バスで堀切港へ約32分。通船「おきしま」で約10分。
●おすすめステイ先 漁家民宿 湖上荘
http://www.zd.ztv.ne.jp/kojousou/index.html
Column
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2022.01.15(土)
文・撮影=古関千恵子