炬燵舟で旬のあんこうと熱燗を満喫 朝焼けの中「東京・朝鍋舟あそび」

 運河とともに発展した江戸の街を水辺から眺めて楽しむ「舟あそび」。そんな風流な趣向を真冬に体験できるのが、「東京・朝鍋舟あそび」です。(1日1組限定、税サ込・宿泊料別・2人136,000円~。2月28日まで)。

 日の出前のまだ暗いうちに勝どき桟橋を出航。朝焼けの中に浮かび上がってくる浜離宮恩賜庭園や、湾岸の高層ビル群、レインボーブリッジも、地上で見るのとは違ったドラマティックな表情を見せます。

 公共桟橋が開く前は他の舟がほとんどいないため、東京の夜明けを独占しているような気分。渡り鳥たちの声に耳を傾けながら、桟敷席の炬燵で暖を取りながら刺し身や和え物などをつまみ、あんこう鍋と日本酒をいただけば、身体はポカポカ、気分は上々。

 料理は、神田須田町のあんこう料理専門店「いせ源」から。天保元年(1830年)創業の老舗です。

 珍しいあん刺しに、とも和え(あん肝と身を卵黄や味噌で和えたもの)、肝刺しに続いて登場するのが、名物のあんこう鍋。活け〆にした旬のあんこうを丁寧に下処理し、一子相伝の醬油仕立ての割下で煮立てて食べる逸品です。

 日本酒は、東京都内の3つの酒蔵から厳選した「金婚本醸造 超辛」「多満自慢 山廃仕込み純米原酒」「江戸開城 純米吟醸原酒」。組み合わせの妙味を堪能できます。

 この冬、もうひとつおすすめのプログラムが「東京・冬温し滞在」(1泊1人税サ込・宿泊料別115,000円~。2月28日まで)。

 江戸の暮らしにならい、冬の寒さをアクティブに楽しむ趣向です。メインは弓術の寒稽古。初日は小笠原流の礼法を通して基本の歩き方や座り方、心構え、弓の引き方を学び、2日目はいよいよ装束をまとい、夜明け前の静寂な大手町仲通りで弓を引きます。

 ただ一心に弓を引き、澄んだ朝の空気を胸いっぱい吸い込むと、身体が徐々に温まってくるのを実感。寒稽古後の貸切温泉や、温めた玄武岩を用いたスパトリートメント、江戸の町の人々が冬に好んで食べた豆腐の鍋料理などもお楽しみに。

2022.01.15(土)
文=伊藤由起
写真=橋本 篤