人生の不思議まで表現されている
『クッキングパパ』
うえやまとち 著
主人公が家庭や職場で料理を振るまう。
「記憶が走馬灯のように巡る場面に涙が流れてしまいます。主人公の息子が会社をやめて、本当にやりたいことだった料理の道を志す決心をする場面で、涙腺崩壊」(三浦哲哉さん)
別れを乗り越えて強く生きていく
『四月は君の嘘』
新川直司 著
クラシックの演奏家である中学生たちの生と死を描く。
「最終巻を読んで泣かない人などいるのか!? 色々な人の思いを乗せての演奏、大切な人との別れを乗り越えて強く生きていく姿がたまりません」(宇垣さん)
存在することを肯定してもらえる
『ロスト ハウス』
大島弓子 著
表題作を含む短編集。
「『どろまみれになっても思いきりこの世界で遊んでもいいのだ』のところで毎回泣いてしまいます。読者である自分まで、世界に存在することを肯定されたような気持ちになります」(トミヤマさん)
「心を揺さぶられた本」を教えてくれた方々(50音順)
犬山紙子(いぬやま・かみこ)さん
イラストエッセイスト
1981年生まれ。『すべての夫婦には問題があり、すべての問題には解決策がある』など著書多数。「文學界」で「むらむら読書」を連載中。
宇垣美里(うがき・みさと)さん
フリーアナウンサー
1991年生まれ。TBSラジオ「アフター6ジャンクション」などに出演するほか、執筆活動も行う。週刊文春で「宇垣総裁のマンガ党宣言!」を連載中。
千早 茜(ちはや・あかね)さん
作家
1979年生まれ。『魚神』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。最新作は『ひきなみ』(KADOKAWA)。食についてのエッセイ『わるい食べもの』(ホーム社)がある。
トミヤマユキコさん
漫画研究者
1979年生まれ。大学では少女マンガ研究の講義を担当。著書に少女マンガの“ブサイク”な登場人物を考察した『少女マンガのブサイク女子考』(左右社)など。
長井 短(ながい・みじか)さん
俳優
演劇活動と平行してモデルとしても活動する「演劇モデル」。著書に、読者の自尊心を研ぎ澄ませるエッセイ『内緒にしといて』(晶文社)がある。
三浦天紗子(みうら・あさこ)さん
ライター
ブックカウンセラー。小誌をはじめとした女性誌や、文芸誌などで書評やインタビューを担当。著書に『震災離婚』(イースト・プレス)など。
三浦哲哉(みうら・てつや)さん
映画評論家
1976年生まれ。青山学院大学文学部比較芸術学科准教授。専門は映画評論、表象文化論。著書に『LAフード・ダイアリー』(講談社)など。
2022.01.03(月)
Photographs=Kengo Shimizu