長身で端正な顔立ちに、スポーツで鍛えた体躯。笑うとクシャッとできる笑いジワに、一気に親近感が増す。爽やかでスマートな人、というのは見た目の通り。

 でも今回の取材では、どうにも気持ちにフィットするような言葉が見つけられないままに時間切れとなり、次の取材へ……と一旦去りかけたところ、部屋の出口で立ち止まり、その場に立ったままインタビューの続きを話してくださった大谷亮平さん。そこに、真面目で朴訥とした素顔が垣間見えました。

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礼儀とかデリカシーということがものすごく目に付く性格です(笑)

――先ほど、自分の生活を大事にされているというお話も出ましたけれど、生活のこだわりみたいなことはありますか。

 細かいこだわりはいっぱいありますよ。

――意外とこだわりが多い方なんですか?

 逆に、意外とこだわらないんです。強いて言えば、生活空間に自分に必要のないものを置くのが嫌、というくらいですね。いろんなものが置いてあって整理整頓されてない状態がすごくストレスなので、自分がまったりできる空間はすごくシンプルです。……でも、それくらいかな。あとは適度に運動するくらい。ジムには行かずに家でやれる程度ですけど。

――家に仕事を持ち込まない、という方もいらっしゃいますけれど。

 そこもこだわらないです。持ち込む時もあれば、持ち込まない時もあるし、決めないです。作品によっても感じ方は違いますし、その時その時。だからこうやってインタビューしていただくと、その時々で話すことが違っていたりするので、一貫性がないなと思われるかもしれません(笑)。来月インタビューしてもらったら、また別の答えになっている可能性は大きいです。

――逆に、作品に生活が影響されるみたいなことはあるんですか?

 影響されるというか、さっきお話ししたように、僕としては作品の現場にオールインしているだけなんですよね。だから自分がどっちの方向に行くか、僕自身もわからないです。それで苦しむこともあれば楽しいこともあって、でも無理に修正しない。それで私生活が変わってくることもあるし、「それでいいじゃん」って思っています。

――大谷さんの中で、人としてとか、男として、これだけは守りたいと思っていらっしゃることはありますか?

 男としてということは特にないですが、「人として」ということは、すごく考えますね。何かあるとすぐに「これって“人として”どうだろう」と心の中で自分に問うというか。

 だから、周りに対しても「それは人としてどうなの?」って思っちゃうことが時々あるんですよ。礼儀とかデリカシーということが、ものすごく目に付く性格です。さすがに直接言ったりはしませんが、他人のことまで目に付いちゃうからこそ、自分はそこを大事にしたいです。

 極論を言うと、仕事よりも何よりもまずはそこでしょって思っています。時代はどんどん変わっていって、今はSNSとか楽しいツールがいっぱいありますが、人として大事なことは変わらずにあるんです。そういうことに関しては、すごくうるさいと思います。

2021.12.26(日)
文=望月リサ
撮影=深野未季
ヘアメイク=MIZUHO(VITAMINS)
スタイリスト=伊藤省吾(sitor)