一緒に楽しめる体験系ギフト

――今後、伸びていくと注目しているギフトはありますか?

「体験系ギフトが、より充実しそうです。コロナ禍の前ですが、私も、誕生日パーティのために、友人6人でリムジンをチャーターしたことがあります」

――リムジンもネタバレ?

「もちろん! 遅刻されたら困りますし、全部、相談しました」

――体験系では、形として残るプレゼントは贈らないのですか?

「そのときは、純粋に体験を楽しむというよりパーティ要素が強かったので、インスタのストーリーに上げる際の演出も兼ねて、プレゼントとお花を準備しました」

――インスタに上げるまでがギフト体験なんですね!?

「ここでこんな写真を撮る、というのも誰かのインスタでリサーチしておいて、その疑似体験をなぞりながらも、食べ物や小道具でオリジナリティを出して、撮った写真を自分のインスタに上げる、という感じです」

――体験系なら、エステや乗馬なども前から人気でしたよね。

「以前のテーマが、“極上のひとり時間を味わう”だとすると、今は“一緒に楽しむ”がトレンド。私も友人と一緒にパーソナルカラー診断をしました。贈り手も一緒に楽しむ形もあれば、贈った相手が大切な人と一緒に体験できるペアチケットを贈る、という新形態も出てきています。

 体験ギフト専門の『SOW EXPERIENCE』には『2人に贈る体験ギフト』というカテゴリーがあって、実際に、グルメハンバーガーやクルーズ体験のペアチケットを贈ったという話も聞きました」

――体験ギフトは、種類も形態も進化しているんですね。

「体験系の選択肢が増えたことと、無理に欲しいモノを探して無駄な消費をするくらいなら、というサステナブル意識の高まりが相まって、体験系の需要は今後も増えていくのではと予測しています」

体験ギフト専門サイト SOW EXPERIENCE

贈れる体験はビューティ、グルメ、アウトドア、手づくりなど約200種類あり、価格も3,000円台~10万円台までと幅広く、贈る相手やシーンに合わせて選べる。サイト上で体験ギフトを購入したら、指定の住所に利用ガイドやチケットを直送できるが、贈り主が一旦チケットを受け取ってから手渡しすることの方が圧倒的に多いという。貰い手は必要に応じて予約サイトで体験を申し込む。

牧島夢加(まきしま・ゆめか)さん
博報堂 ミライの事業室 ビジネスデザイナー

1995年生まれ。現役大学生らと共に、Z世代を中心とした若者の思考回路や消費行動を分析し、その知見をもとにクライアントの次世代攻略プロジェクトに活用。Z世代向けのブランド開発や商品・サービス開発などに従事している。

贈りもの賢者に聞いた
「用途別」間違いのないギフト

2021.12.19(日)
Text=Yuki Imatomi
Illustrations=Natsuki Suyama

CREA 2022年冬号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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