マーちゃんと一緒にバンドをやれるのなら、ドラムはジョニーしかいないと考えていた。俺がバンドに誘うと「とりあえずみんなで音を出そうよ。それで決めない?」という返事だった。そこで俺たちは、赤坂にできたばかりのバックペイジスタジオに集まったんだ。

 その時の風景は今でも忘れない。誰かが音を出したらそれに反応して音楽が始まる……そんな感じでセッションをしながら、お互いの感触を探っていたね。なんだかんだ言ってふたりは、俺よりも6~7歳ほど年上だから、俺にしてみたら同世代の連中と集まって音を出して遊ぶのとはまた違う緊張感があったのを覚えているよ。

 俺はもう楽しくて仕方がなかったし、この3人が生み出す新たな表現への手応えを感じてはいたものの「よし、これで行こう!」と盛り上がったわけではなかった。なぜなら、その頃のジョニーは金子マリ&バックスバニーの一員として活動していたからね。

 最初のセッションから数日して、ジョニーが「バックスバニーの活動もやりながら、ふたりと一緒にやりたい」という話になり、JL&Cの母体となるバンドが生まれた。これはあとから知ることなんだけど、実はマーちゃんとジョニーは、JL&Cで集まるよりも前に一度だけセッションしたことがあるみたいなんだ。その時は一緒にやることにはならなかったけど、ある時ふたりが「やっぱり一緒にやることになったね」と話をしているのを聞いたことがある。お互いに「お前とはいつかどこかで会うと思ったんだよね」って言い方をしていたよ。

 

 まとまったスケジュールを取った俺たちは、バンドの方向性を固めるために「合歓の郷」へ合宿に行った。そこで最初に作ったのは、ベース、ドラム、キーボードというトリオ編成の曲で、俺のクラビネットとマーちゃんのベース・ラインをユニゾンさせたりして……ある種、プログレッシブな音楽性だった。その時のアイディアは、のちに「Depression」や「Get High」で形になっているよ。加えて、ジョニーはもともとチェックメイツというグループでボーカルを担当していたこともあって、ふたりで一緒にハモれるのは新鮮で楽しかった。

2021.12.18(土)
文=Masaya Bito