万葉集や日本書紀に記され、歌や伝説の題材になった白良浜
白浜を代表する絶品ビーチ、白良浜は真っ白な砂浜が約620メートルも続いています。その白さから命名され、万葉集や日本書紀にも紹介されています。平安時代から室町時代にかけては、歌や伝説の題材にも。
この漂白したような白さ、サンゴが砕けた沖縄の砂とは、色合いが異なります。オーストラリアのホワイトヘブンビーチのシリカサンドと似ているなと思ったら、やはり同様の砂質の珪砂(石英砂)。
白良浜は珪砂砂岩(変質水成岩)が波などによって浸食されたもので、石英(水晶の仲間)の含有量は90%以上。白砂の波打ち際から遠浅の海が広がり、トロピカルな風景が広がっています。それでもビーチを縁取る木々の多くは松林。まさに“白砂青松”な日本の浜です。
個人的にボランティアで白浜をガイドしてくれる、「南紀白浜ウエルカムサポーター」部会長の片田一誠さんによると、昔はもっと白く、“ま、まぶしい”と手をひさしのようにかざしたとか。スキー場の照り返しくらい、まぶしかったそうです。
白浜といえば、日本三古湯(他は有馬と道後)。かつては海から間欠泉が噴出していたこともあったとか。
55カ所も数える源泉のうち、いくつかをウエルカムサポーター部の片田さんの案内でめぐることにしました。
海沿いの通りにある「行幸(みゆき)源泉」や「砿湯(まぶゆ)源泉」、そして海に面した「崎の湯」へ。ここはかつて“湯崎七湯”と呼ばれた外湯で残っている歴史のある湯壺だそう。打ち付ける波しぶきが迫力の、町営の露天風呂です。
家並みの合間を縫うようにして、急な小道や階段を上り、山門と鐘楼が一つになった来迎寺や、薬壺を屋根のてっぺんに乗せた薬師堂。そして「甘露の湯 源泉」などを散策。高台からは屋根の合間に海を見下ろし、旅情たっぷり。どこか、尾道のようです。
ちなみに、湯めぐりをするならば、「南紀白浜温泉 湯めぐり札」(パンダシール5枚付き、1,800円)がお得です。町営温泉やホテル内など14カ所の温泉がラインナップし、施設によってパンダシール1枚または2枚を使用。地図付きなので、便利です。
2021.11.20(土)
文・撮影=古関千恵子