快傑ゾロ! 赤ジャガー! 華やかなヒデキを愛でる

激しい恋(「10代歌手 輝け!! 日本かくし芸大賞」映像)

 「やめろと言われても」の後に入る「ヒデキ!」というファンのコールが私の興奮をさらに煽る! 興奮のあまり「ヒデキ」の「デ」を噛んでしまい「ヒジェキ!」と叫んでいる方がいて胸が熱くなる。

 その理性がふっ飛んだイエロー・ハイトーンボイスも、ヒデキソングを彩る一つの楽器だ。

傷だらけのローラ(第25回 紅白歌合戦映像)

 出た……! ヒデキが快傑ゾロに扮した紅白初出演のパフォーマンスは伝説。あのアントニオ・バンデラスですら映画『マスク・オブ・ゾロ』を演じるにあたり「1974年紅白のヒデキに勝てるかどうか自信がない」と言ったとか言わないとかいうウワサが私の妄想世界にのみ届いている。

 マスクを取るのにちょっとモタつくのも母性本能を炸裂させる。手伝ってあげたい。

ジャガー(第5回東京音楽祭国内大会映像)

 作詞家・阿久悠さんがヒデキをものすごく褒めている映像からの、赤ジャガーヒデキ! ピンクレディー風味がすごい衣装のアイデアはアン・ルイス作。

 これを見事カッコよく着こなし「君を愛する炎が見えたか!」と叫んでくれるヒデキの色気が怖い! 作家の野坂昭如氏は「ジャガーで西城秀樹は大人になった」と語っていたという。

若き獅子たち(第27回 紅白歌合戦映像)

 雄々しいバラードにふさわしい黒の衣装が最高。「闇よ、かくすな」と力強く歌った瞬間、のれんのように白いリボンの束が、上からザンッと垂れる演出で、肝心のヒデキの姿が一瞬隠れる事態に。オオッ闇を隠さずヒデキを隠した―ッ!

 ヒデキの立ち位置が後ろ過ぎたのか、ああいう演出なのかは謎。紅白側の「ヒデキの美しさをずっと観ていると気絶する。一旦その姿を隠すから、ファンはここで水分を摂るべし」という粋な計らいだったと信じたい。

ブーメラン ストリート

 片腕をグルグルと回すブーメランな振り付けが懐かしい。突然ヒデキとバックダンサー全員の背中を映すというカメラワークが斬新である。

 この歌で「照れなど無用!」と言わんばかりに、恋に病む表情を見せるヒデキは最高に美しく、溜まったストレスをフライハイしてくれる。まさに歌は3分間のドラマだ。

2021.11.06(土)
文=田中 稲