審査するK-POPマスターのソンミは「圧巻のステージ。シーンが変わっていく様子は映画のようだった」と絶賛した。舞台演劇のようなそのパフォーマンスは、その解釈も含め非の打ちどころがないレベルだった。

最年長・中国人メンバーの「焦り」が引き起こした対立

 9人グループで勝利したのは、イギリスのガールズグループであるリトル・ミックスの「Salute」のチームだ。2013年に発表された原曲は、戦う女性たちを描いた強めの内容だ。9人のパフォーマンスは、フォーメーションや振り付けも含め、本家を上回る出来だった。


 しかし、このグループはチームワークにおいて大きな失敗をした。リーダーとキリングパートをともに務めたのは参加者の最年長であるツァイ・ビーンだったが、番組では彼女の不安定さが描かれた。

 

 とくに練習時における強硬な姿勢は、他メンバーの反感を買った。事前に合意していたフォーメーションを独断で変更し、それに意見をされると「私がリーダー。言うとおりにして。意見をしないで」と主張して場を凍らせた。『ガルプラ』では、当初から中国勢のはっきりとした姿勢が見られたが、それがもっとも良くないかたちで現れたシーンだった。

 もちろん、より良いパフォーマンスを求めるうえではこうした意見の相違は必須だ。そこで重要なのは、議論したうえで解決してより良いパフォーマンスを導くことにある。「Salute」チームは、番組内では対立が回収されないまま本番に至った。結果は最高のものとなったが、このチームはもともと順位が低い参加者が多いこともあり、ツァイ・ビーン以外の8人全員がここで脱落した。

大幅に順位を上げた、日本勢の「ダークホース」

 このコンビネーションミッションを終えて、エピソード8では次の段階に進む27人が発表された(後に中国勢ひとりが辞退)。今回も当落は日韓中が同じ割合だ。上位勢に大きな変化はなかったが、幾人か当落線上の参加者の躍進が目についた。

2021.10.08(金)
文=松谷創一郎