「ガールズプラネットの言語は、“K-POP”です」

 始まったばかりのK-POPオーディション番組で、MCはそう宣言する。

 K-POPが世界の音楽シーンに残してきた軌跡を踏まえると、そのコンセプトはとても言い得て妙に思える。この20年ほど、まるで汎用的な言語かのようにK-POPは拡大してきたからだ。

 東アジアからポピュラーミュージックをグローバルに送り出す──1990年代まで日本のアーティストがときおり志して挫折し、いつしか忘れ去ったその目標に、K-POPは20年かけてほぼ到達した。そこで提示されたコンセプトが、世界共通言語としてのK-POPだ。(全2回の1回目/後編に続く) 

共通言語としてのK-POP

 K-POPオーディション番組『Girls Planet 999 : 少女祭典』(以下『ガルプラ』 )は、8月6日から全世界で同時放送が始まった。日本ではインターネットテレビ・ABEMAにおいて、同時通訳付きで独占放送されている(毎週金曜20時20分)。制作するのは、韓国の総合エンタテインメント企業・CJ ENM傘下の音楽チャンネル・Mnetだ。

 この企画の特徴は、日韓中から33人ずつ、計99人の参加者を集め、そこから9人組のガールズグループを創る点にある。まさにK-POPの共通言語性を強めていく実践だ。

 K-POPが海外の人材をスカウトするのはいまに始まったことではない。人気グループには少なからず海外出身のメンバーがおり、日本と中国はその最大の輩出国だ。現在はK-POPで活躍する日本出身者は30名以上にものぼる(「“K-POP日本版”が意味すること」2020年9月28日 )。この状況を加速させる役割を果たしたのは、9人中3人が日本出身者からなるTWICEの大ブレイクと、今年の春に活動期間を終えて解散したIZ*ONEだ。

 とくにAKB48グループの3人が加わったIZ*ONEの成功は、『ガルプラ』のロールモデルとなっている。それを生んだのは、2018年のMnetのオーディション番組『PRODUCE 48』だったからだ。オーディション参加者の4割ほどがAKB48グループのメンバー──つまり外国人で占められたその企画は、前例がないものだった。

2021.08.27(金)
文=松谷 創一郎