日本のAKB48との提携関係は解消されているが、中国の48グループは実力水準でも日本をトレースしているかのようだ。
見方を変えれば、こうした両極端な結果は中国のポピュラー音楽状況の反映とも言える。日本と韓国それぞれから強い影響を受けており、まだ独自の表現スタイルが確立されていない。
愛嬌を軸にキャラクターを売ってきた日本のアイドルに対し、ダンスやヴォーカルなどパフォーマンスで勝負を続けるK-POP──その両者の要素がまだ併存する状況を感じさせる内容だった。
『プデュ48』の大惨事とは大違い…大健闘の日本勢
一方、番組開始前からその実力水準が危惧されていたのは日本勢だ。3年前の『プデュ48』では、AKB48グループの参加者が酷評されまくる大惨事が生じたからだ。だが、その心配は杞憂に終わった。全体の水準は高く、トップ9候補者は中国勢よりも多い9人だった。
早い段階で実力を見せつけたのは、事前にさほど注目されていなかった川口ゆりなだ。彼女は、オスカープロモーションの国民的美少女コンテストを経て芸能界入りし、2018年までX21というアイドルグループで活動していた。現在もオスカーに公式ページが残されている。
彼女はヴォーカルが非常に安定していた。ダンスをしていてもまったく歌が乱れることがなかった(※動画のライトグリーンの衣装)。なお、このときいっしょだった参加者のひとりは、「Nizi Project」の東京予選(2次審査)に参加していた岸田莉里花だ(※動画のイエローの衣装)。
トップ9にはふたりが入った。ひとりが9位になった桑原彩菜だ。参加者の最年少である14歳(2006年生まれ)の彼女は、3年前まで広島のローカルアイドル・革命少女のメンバーとして活動していた。
注目すべきは、彼女がアクターズスクール広島の出身であることだ。日本では稀有な実力派グループであるPerfumeやBABYMETALのメンバーも、ここから輩出された。彼女に対する高い評価は、同スクールのトレーニングがたしかなものであることを感じさせた(※動画で髪を結わえていない方)。
2021.08.27(金)
文=松谷 創一郎