これは参加者の自己紹介であるのと同時に、新たなセルを優先的に編成できる上位9人を決めるためでもある。選ぶのは、「K-POPマスター」と呼ばれる少女時代のメンバーや振り付け師などだ。

 こうして始まったパフォーマンスは、極めて高い水準だった。最終的に、セル編成権が与えられるトップ9の候補者は、99人中31人(31%)にもなった。これは、厳しいトレーナーがいかなかったためでもあるが、全体的にレベルがかなり高いこともその要因だ。 

 逆に、目を覆いたくなるような参加者はほとんど見当たらなかった。もちろん実力が乏しい者もいるが、オーディションが進む過程で十分に成長する見込みがある。過去の日韓中の『プデュ』全9シーズンを踏まえても、参加者のレベルはもっとも高いかもしれない。

 

実力が両極端だった中国勢

 なかでも目を引いたのは、中国からの参加者だ。最終的にトップ9に3人入ったが、いずれもオーディション後半までデビュー圏内を維持しそうな水準だ。

 たとえば、個人でパフォーマンスをおこなったスー・ルイチーは、圧倒的な実力を見せつけた。ダンスをしながらひとりで歌い続けたが、最初から最後までダンスもヴォーカルも極めて安定している。驚くほどのその実力は、トップ9の4位とされた。

 4人組で登場したなかのひとりであるシェン・シャオティンも、十分な実力を見せつけた。彼女はこの番組のシグナル曲「O.O.O (Over & Over & Over)」のMVで、トレーナーから中国勢のセンターに選ばれていたが、それが間違いではないことを証明した。ともにパフォーマンスを行った他のメンバーの実力が乏しいなか、韓国語のラップも難なくこなしトップ9の3位となった(※動画の茶髪)。

 ただ、中国勢の実力は両極端に感じられたのも事実だ。トップ9候補者6人の能力はたしかに高いが、低水準の参加者が相対的に多いとも感じられた。

 しかも、とくにそれが目立ったのは中国版48グループの現役メンバー4人だった。たとえば、広州・GNZ48メンバーである一卵性双生児のリャン姉妹は、唯一ネタ的な存在として扱われた。彼女たちの愛嬌は大受けしていたが、やはりその実力は大きく劣る。

2021.08.27(金)
文=松谷 創一郎