映画に救われた瞬間

オダギリ 世の中には色々な映画があるけど、僕は誰が撮っても同じような作品じゃなく、個性が前面に押し出された映画が好きです。ティム・バートンやデイヴィッド・リンチの世界観を見るたびに「ものづくりしてるな、この人じゃないと作れない映画だな」と感じて、自分も頑張らなきゃと勇気をもらえます。自分もオリジナリティを突き詰めたいと思える。

永山 僕は最近、「大豆田とわ子と三人の元夫」のオダギリさんを観て、お芝居って面白いなと感じました。同一人物だけど仕事中とプライベートではまるで別人に見えてくるキャラクターで、それでいて普段のオダギリさんが話しているような感覚で演じていて。そのころ、自分が漫画的なキャラを演じていたこともあって「自分ももっと肩の力を抜いていいんじゃないか」と感じました。

 松たか子さんとの2ショットでも、「次はどんな表情をするんだろう」とオダギリさんばかり観ちゃいました。日本であんな芝居をする人はいないし、絶対的にお芝居を楽しんでいるのが伝わってくるんですよね。

オダギリ いやぁ、恐縮です。同業者にしか気づかない事があると思うので、そんなふうに感じてもらえるのはとても嬉しいですね。

「映画館に行く」文化を守りたい

永山 ここ20年くらい、シネコンが続々と出てきたことで、大作とローバジェット(低予算)の作品の二極化が進み、“中間”がなくなってきたように感じています。

オダギリ それこそ、僕たちが若いときに参加していた作品は中間の規模が多かったですよね。日本映画が一番活発で、面白いときでした。

永山 NetflixやAmazonが出てきて、どんどん映画館で映画を観る文化がなくなっていくんじゃないかと不安です。ミニシアターの支援企画に参加もしているのですが、「これで本当に大丈夫か」と危機感は募りますね。

オダギリ コロナ禍に入って、閉館に追いやられてしまう映画館も増えてきていますしね……。

永山 はい。そんななかで、どうしたら若い子が映画を撮りやすい環境になっていくのか、常々考えています。ヒットすればいいのか、賞を獲ることがすべてなのか……。そもそも、そういったことを成しえないと、存在の証明ができないのか。たとえば1本の作品だけに何十億も使うんじゃなく、分配して、そのぶん色々な若手に撮らせるようにならないかなと思っています。

2021.09.17(金)
Text=SYO
Photographs=Takuya Nagata(W)
Styling=Tetsuya Nishimura〈Odagiri〉、Taichi Sumura〈Nagayama〉
Hair & Make-up=Yuki Shiratori〈Odagiri〉、Katsuhiko Yuhmi(THYMON Inc.)〈Nagayama〉

CREA 2021年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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