「最初のうちは客がギャアアアって」日本エレキテル連合が明かす、危険すぎるネタ「ダメよ〜ダメダメ」の“真実” から続く
「あるある」をデコラティブに表現し唯一無二のキャラクターを生み出してきた日本エレキテル連合。面白くなるなら、どんなメイクも衣装も厭わない……彼女たちを“お笑い茨の道”へと突き進ませるそのモチベーション。当たり前のように行われる容姿いじりに、エレキテル連合が「ノー」を貫き続けた理由とは何か。
テレビと世間と、常になんとなく「気まずい」二人が導き出した、シンプルで切実なお笑い芸人論。(3回中の第2回/1回目から読む)
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つい、「自己肯定感が高くなる」石を選んで数珠を…
——今までこの特集でインタビューした女性芸人の多くが「自分の肩書きは『芸人』ではない」とおっしゃていました。女性芸人にとって「芸人」と名乗るのはハードルが高いことなんだな……と漠然と思っていて。お二人は「芸人」という肩書きに違和感はありますか?
中野 ないです。なんで皆さんがそうおっしゃったのかも何となく分かるんですけど、たぶん謙遜されてる……「タレント」と「芸人」を使い分けてらっしゃるのかもしれない。私たちはタレント性が低いから、「タレント」とは言えないんですけど、「芸人」ではあると思ってます。
橋本 そうそう。
中野 むしろ芸人です。皆さんは器用で、ものすごく腕があってどちらもできる方が多いんだと思います。ただ、皆さん、自己肯定感はメチャクチャ低いのかもしれないです。
橋本 それでそうやって言う方が多いのかな。
中野 私たちも低いので分かります。
橋本 低いです。
中野 もうコンプレックスの塊。ちゃんとしゃべるとか、気の利いたことを言うとか、基本のコミュニケーション能力が劣ってることを、何より自分たち自身が全然認められなくて。ずっと「しんどい、しんどい」って言ってました。
橋本 こういう仕事は前に前に出なきゃいけないけど、すぐ下がっちゃう。「自分らなんか」って思っちゃって。
2021.08.19(木)
文=西澤千央
写真=鈴木七絵/文藝春秋