「自分のもう一人の自我であるアバターに出会い、新しい世界を経験する」(同社HPより)という世界観をベースに、4人の実在するメンバーにはそれぞれのアバターがいて、アバターを加えた“8人のメンバー”が新しい世界を描いていくという。

 デビュー曲の「Black Mamba」では“Black Mamba”という存在によって、メンバーとアバターとの結合が切られてしまい、2曲目の「Next Level」では、この問題を解決するために荒野へ旅立つ様子を描いている。

 

 K-POPに詳しい芸能専門YouTuber、ユ・ジェヒョク氏は次のように語る。

「固有の世界観を持ち、曲ごとにストーリーを作り出す戦略は、第3世代ではボーイズグループが使っていた戦略。この世界観はファンダムを形成する重要な要素だが、幅広く大衆にアピールするのが難しい。そのため第3世代のガールズグループは明確な世界観を持たなかった。

 だが、独特な世界観を打ち出したBTSの大成功で、ガールズグループでもそれを持つようになった。これまで以上に、さまざまなコンテンツやグッズを生み出し、ドラマや映画まで制作できるユニークな世界観が、第4世代アイドルの最大の特徴だろう」

若者の『反日』感情を克服した「TREASURE」

 日本でもファンを獲得している「第4世代」が、BLACKPINK以来4年ぶりにYGエンターテインメントからデビューした「TREASURE(トレジャー)」だ。2020年8月のデビューと同時に、日本を始め世界各地で情熱的なファンダムを形成している。

「YG宝石箱」というオーディション番組を通じて選抜された12人のボーイズグループで、韓国人の他に4人の日本人メンバーが入っている。

「トレジャーはオーディションの過程やプレデビュープロモーションを用いて、メンバーそれぞれの成長ストーリーをアピールすることで、根強いファンを確保し、若者の『反日』感情を克服した。第4世代アイドルはデビューと同時に海外進出を目指すのがトレンド。このため、K-POP最大の輸出相手国である日本出身のメンバーが海外進出のための必須要素になっている」(韓国の芸能関係者)。

2021.06.22(火)
文=金 敬哲