この世代では、K-POPが北米やヨーロッパに広がり、SNSやYouTubeなどを駆使し、韓国と海外を同時に攻略する戦略で一気にスターを生み出してきた。カリスマや神秘主義を強調した第1、第2世代と異なり、親しみやすくて距離感がないのも第3世代の特徴である。

 

第4世代の口火を切った「ITZY」

 そして、「第4世代」という表現が韓国メディアに登場し始めたのは、2018年ごろからだ。

 その定義は、2000年代生まれのメンバーで構成され、主に10代後半~20代半ばの若いファンダムを持っているグループ。先輩たちの成功戦略を参考にしながら、より主体的で、より強いメッセージ(世界観、コンセプト)を打ち出し、多様なメディア戦略で、K-POPの水準を一段引き上げたとされる。

 その「第4世代」の口火を切ったのが、いまや“ガールズグループの名家”といわれているJYP所属で、2019年2月にデビューした「ITZY(イッジ)」。「第4世代アイドル」と称された最初のグループだ。「ティーン・クラッシュ」をコンセプトに、「人と違う私」を訴え、10代少女たちの新しいロールモデルグループとして浮上している。

 大衆文化評論家のキム・ホンシク氏が解説する。

「ITZYは、JYPガールズグループのトレードマークであるキュートなセクシーコードに、最近人気となっている、女性も惚れてしまう強い女性像を指す“ガールクラッシュ”が結合し、実験的なスタイルになっている。音楽もTWICEやNiziUが披露する軽快で健康美あふれるダンス曲ではなく、R&Bやソウルをベースにして、差別化を図った。外見やパフォーマンスも、JYPらしからぬ全く新しい試みが見られて、“北米や欧州を狙いたい”というJYP側の意図が読み取れる」

アバターを加えた“8人のメンバー”で構成される「aespa」

「第4世代」では、2020年11月にデビューしたSMエンターテインメント所属のガールズグループ「aespa(エスパ)」も、独特な世界観で注目を集めている。

2021.06.22(火)
文=金 敬哲