また、料理をすることは、さまざまな面から「自己肯定感を上げる」ことに役立つのではないかといわれています。「自分でごはんを作った」という事実によって「達成感」を得ることができるからでしょう。さらに、料理のレパートリーが増えることは、自尊感情につながるという海外の報告もあるくらいです。

「料理をすることは人間ならではの営み」の一つ。健やかなる時だけでなく、病める時は病める時なりに、無理をしない範囲で、体調に合わせたごはんづくりをすることができればいいですよね。杏耶さんの「限界ごはん」であればそれができます。

 毎日食べるごはんは、体の栄養になるだけではなく、脳を刺激したり、心を整えたり、精神面にも良い影響があります。何より、「美味しい!」と思って食べている時は、どんなに疲れていても自然に笑顔になりますよね。

「ごちそうさま」という気持ちが自然と湧いてくるような、そんな日々の良循環を生み出すのは、何も特別なご馳走ではなく、どんなに簡単でもいいから、自分の体に合わせて作った何気ない日々の料理なのかもしれません。

 人は弱っている時に、「心」と「体」を整えて支える力を、ひと口の自分の食事から感じとることができます。杏耶さんのレシピで、皆さんの元気がチャージされますように。

文=平川あずさ(管理栄養士)

2021.05.29(土)
文=平川あずさ(管理栄養士)
漫画=杏耶