そしてこの三本柱には“日内リズム”があり、このリズムには、睡眠(夜)と覚醒(昼)の二つの“相”がある。 “夜の相”から“昼の相”に移る、つまり睡眠モードから本格的な活動モードに完全に移行するのに、2~3時間かかるといわれており、起きてから仕事開始までの時間が短いほど自律神経のバランスが崩れて、ストレス反応(Eさんの場合は頭痛や吐き気)が出やすくなるのです。
したがって、仕事の開始時刻が9時なら6時以前に、10時なら7時以前に起きるのが理想的。できることなら、在宅勤務のあいだも起きる時刻だけは出社日に揃えておくと、いざ通勤再開となった時もスムーズに移行できるはずです」
「ついていけない」ときに無理はしない
山本医師によると、コロナ禍の在宅勤務で、完全に昼夜逆転してしまっている人が増えているという。これが体に沁み込んでしまうと「時差ぼけ」と同じ状態になるので、人によっては元の生活に戻すのに苦労することになるのだが、Eさんのライフサイクルであれば、ほぼ問題なく元に戻せるとのこと。
「はたから見ればもっと深刻な状況なのに、何の不安もなく呑気に暮らしている人もいる中で、Eさんは真面目な性格なのでしょう。それは決して悪いことではないし、どうしてもつらくなったらメンタルヘルスケアという受け皿もある。いまは充電期間と考えて、満喫すればいいのです」
悩む対象は人それぞれ。ただ、コロナ禍によって“不安のネタ”が増え、鮮明に照らし出され、体が付いていけなくなっている人は少なくないようです。
ただでさえ心配事が多いのに、ニュースを見ればギスギスした話題にあふれていて、気分は落ち込むばかり。山本医師の言うように、散歩でもしてポジティブな思考にする取り組みが、いまは一番大切なのかもしれません。
2021.05.28(金)
文=長田昭二