そもそも、コロナ禍はまだ当分は続きそうだし、収束したとしてもリモートワークは継続される可能性もある。新型コロナウイルスが完全に制圧され、明日から毎日出社しなければならない、という日の夜になってから悩めばいいことを、前倒しで悩んでしまっているのです」(山本医師・以下同)

 じつに明快な回答である半面、Eさんにとっては取り付く島もないご意見のような気も……と思ったところで山本医師が付け加えてくれた。

 

「ネガティブな思考をポジティブに変えればいいだけのこと。そのためにはどうすればいいのかを考えましょう」

一つだけ気になることが…

 いまの生活がEさんにとって快適であることは間違いないようだが、山本医師は一つだけ気になることがある、という。

「“運動不足”です。会社に行くということは、それだけでもちょっとした運動になるし、日に当たる機会も得られる。毎日通勤していたころのEさんは、当人にその自覚がないだけで、相応の運動をしていたのです。ところがいまの彼の生活にはそれがない点が心配です。無理してジムに行く必要はないものの、せめて1日1回、20分か30分の散歩でもしてほしいところです」

 巣ごもり生活で日に当たる時間が減ったことで、ビタミンD不足が懸念されている。そのためここに来てビタミンDのサプリメントの売れ行きが倍増しているとの報道もあった。

 ビタミンD不足が続くと骨が弱くなることが知られているが、じつは「うつ症状」を引き起こすリスクもあるのだ。Eさんのように「思い悩むタイプ」の人は、なるべくならビタミンDを減らさないように心がけたいもの。サプリで補充してもいいが、それよりは天気のいい日に散歩したほうが健康的だ。

 

「起床時間」と「始業時間」の意外な関係

 もう一つ、月に1~2回の“出社日”の対策についても山本医師に話してもらった。

「始業時刻の3時間前には起床するようにすると、だいぶラクになるはずです。人間には体調を整えるための三つの機能が備わっています。ホルモン(内分泌)、自律神経(交感神経と副交感神経)、そして免疫系です。

2021.05.28(金)
文=長田昭二