「赤ずきん」も、狼のお腹に大量の石を詰めて紐で縫い合わせるって、考えてみるとサイコパスで猟奇的ですよね(笑)。それを、法律監修をしてくれている弁護士さんに相談したところ、「心神喪失」「刑法第39条」というキーワードが浮上してきたんです。

子どもたちの判決が五分五分に分かれるように制作

――物語にそうした独自の解釈を加えることで、見どころが生まれるわけですね。番組を作る上で大変なのはどんなところでしょうか?

平井 一番大変なのは、番組を観た子どもたちが判決を考えるときに、なるべく五分五分に分かれるように作っていくことです。悩みながら真剣に考えてほしいので、印象があっさりどちらか一方に偏ってしまわないよう調整しなければならない。それが毎回、本当に骨の折れる作業でした。

 実は、制作する僕らも、「この裁判の判決は有罪です」というふうに答えを決めて作っているわけではないんです。子どもたちの心証がどっちに傾いているかということを、完成する最後の瞬間まで考えながら作っていました。

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 後編では、『昔話法廷』に出演した豪華俳優や脚本家の起用について語っていただいた。

※『昔話法廷』は、NHK for Schoolで全話公開中です。

(文=二階堂銀河/A4studio)

天海祐希、佐藤浩市、仲野太賀 … ‟Eテレのニッチでマイナーな番組”『昔話法廷』の演者と脚本家が豪華すぎるワケ へ続く

2021.05.22(土)
文=A4studio