●食事ではタンパク質を意識すべし!

 続いては、肝臓をいたわる暮らし方についてです。

「肝臓を守るために大事なのは、なによりも食べ過ぎないこと、つまりカロリーを摂り過ぎないことです。そのうえで、良質なタンパク質をしっかり摂る。

 また抗酸化作用のある食品を意識して摂るのも大事です。抗酸化作用のある食品とは、緑黄色野菜など色の濃い食品です。全体のバランスを考えたうえで、毎日の食事にしっかりと取り入れましょう」

 お邪魔した東海大学付属東京病院健診センターの人間ドックは歴史が長く、なかでも抗加齢ドックは信頼がおけると好評です。

 昼食として出されている『抗加齢御膳』は、西崎先生や山田先生をはじめとする医師や管理栄養士のチームが連携してレシピを作ったもの。

 こだわりのポイントは、タンパク質の量と抗酸化作用の高いカラフルな食材です。

「タンパク質は、最低でも1日で体重の1%~1.2%を摂りましょう。体重の1%とは、体重50キロの人の場合は50g、1.2%だと60gなので、3食に分ける場合は、1回で20g程度のタンパク質量を目安にするといいでしょう。

 また、バランスよくいただくために、カロリーの25%は炭水化物で摂りましょう。

 もちろん、ビタミン、ミネラルも大事です。カラフルな食材を摂ることで、ビタミンAやCは摂りやすくなります。ビタミンEは、良質な油やゴマなどで美味しく取り入れましょう」

 また、忘れがちなのがビタミンD。一般的に検査する機会がないので知られていませんが、実は多くの日本人はビタミンDが足りていないとか。

「検査をすると、8割程度の方が足りていないとわかります」

 ビタミンDはカルシウムの吸収に必要なので、足りていないと骨がもろくなる恐れがある。日頃から、意識して摂るといいということでした。

 もう一つ、食事で大事なのが、時間。山田先生曰く、

「よく、『寝る何時間前までに食事を終えよう』などと言いますが、肝臓をしっかり働かせるには、夜の間にしっかりと休めるのが本当に大事です。寝る何時間前というのではなく、遅くとも8時までには夕食を終えましょう」

  これは、「難しければ9時でもいいか」とか、「遅くまで起きているから10時でもいい」という話ではなくて、「人間の体は夜休むようにできていて、臓器はその時間に見合った働き方をするので、勝手な解釈で変えていいものではない」そう。

 実は、私には夕食時間が一番難しいポイントで、夕食どころか寝る直前までおやつを食べていることも多いので、この教えは耳に痛かったです。が、今回はっきり教えていただけたので、今後は妙な勝手解釈はしないでおこうと心に誓いました。

2021.05.30(日)
文=にらさわあきこ
写真=松本輝一