まず、今となっては当たり前となった王族のチャリティー活動について、マスコミに公開することにしました。それまでは、慈善活動はつつましく行うものだという考えから積極的なアピールや広報を行っていませんでしたが、ここに「ダイアナ流」を取り入れることにしたのです。
故ダイアナ妃は、チャリティーの場で積極的にパーティーを開き、ドレスアップ姿で現れ、存在をアピールし、それが、世界的な故ダイアナ妃の支持につながっていました。イギリス王室もこれに倣ったというわけです。
英王室の「見せる」という戦略
97年からは王室のホームページを立ち上げ、対外発信にも力を入れ始めました。今の英国王室のホームページや公式YouTube、ツイッター、インスタグラムを一度見てみて下さい。華やかなレイアウトで、写真が多く使われ、たとえ英語を読むことができなくても、見飽きない作りになっています。さらに王宮で働く人たちのインタビューや写真も掲載し、王族に仕えることがどれだけ誇らしいことなのかが魅力的に書かれているなど、コンテンツも読みごたえ十分です。
これは、「見せる」という戦略をきちんと行っているからできることです。一方、日本のようなお役所仕様の宮内庁ホームページでは、誰も関心を持ちません。皇族の公務の日程を調べるだけでも、目的のページにたどり着くまで複雑で、本当は情報を出したくないのではないかと勘繰りたくなるほどです。宮内庁も専門のプレスオフィスを作り、みんなが見たいと思うようなものを作るよう、見習わなければなりません。
こうした宮内庁の広報戦略のなさが、今回の結婚問題でも常に小室さんの動きに振り回されるばかりで、何も動けない状態を作り出しているように私には見えます。
このまま皇室への敬愛が薄れ、若い人にも関心を持ってもらわなければ、気が付いたときには日本の皇室の存在感はとても希薄なものになってしまうでしょう。眞子さまと小室さんのご結婚問題は、実は皇室が国民との距離を見直す、そして宮内庁の抜本的な改革が求められる、皇室全体の問題なのです。
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【アンケート結果を見る】《28ページ小室文書に「納得」はわずか6.7%》結婚賛成派は過去最低の11.2%に 眞子さま・小室圭さん結婚アンケート結果発表
2021.05.18(火)
文=君塚直隆