メッテ=マリット王太子妃は国民からの支持があってこその王室だということを非常によく理解していたわけです。翻って小室さんはメッテ=マリット王太子妃のような誠実さで、身をもって訴えるということを今までしてきませんでした。本当に問題を解決したいのなら、裁判資料のような長大な文書で煙に巻くようなことではなく、会見を開き、自分の言葉で国民に訴えることがまず最低限必要だと私は思います。

眞子さまは「時間の余裕がありすぎる」のではないか?

 小室文書の基本方針については、眞子さまも助言されたと報じられています。そのことについて、アンケートでは「どんどん印象が悪くなっていく」「眞子さまはしっかりしてほしい」「秋篠宮家に対してもネガティブな感情が生まれてきている」と眞子さまや秋篠宮家への厳しい批判の声が紹介されていました。

 これは十分理解できる批判です。今、国民はコロナ禍で非常に苦しい思いをしています。その状況下で眞子さまが取りくんでいるのが、ご自身の結婚問題の解決とあっては、「私」よりも「公」を大事にしなくてはならない皇族のお立場として、その自覚が足りていないと思われても仕方ないことです。

 

 あえて申し上げれば、眞子さまは「時間の余裕がありすぎる」のではないでしょうか。私が欧州王室を研究していて、日本の皇室について思うのは、彼らがこなす公務の量は諸外国の王室に比べて極端に少ないということです。とりわけ英国王室と比較するとそれは顕著です。

 現在、日本の皇室で公務を担っているのは16名で、85の団体の総裁や名誉総裁を務めています。イギリスでは約20名の王室メンバーで3000近い団体の総裁や名誉総裁(パトロン)を担っています。現在95歳のエリザベス女王も600の団体のパトロンを担われています。先日急逝されたエディンバラ公フィリップ殿下は、2017年の5月に96歳で引退表明するまで785の団体のパトロンを一人で担っていました。

2021.05.18(火)
文=君塚直隆