私が懸念するのは、もしお二人が結婚を強行した場合に、英国のエドワード8世のようにならないかということです。

 1936年、エドワード8世は王であるよりも当時人妻であったウォリスとの結婚を選びました。「王冠を賭けた恋」とも言われますが、エドワード8世は在位期間わずか325日で退位し、王室を捨て、フランスのパリ郊外でウォリスと密かに暮らす道を選びました。

 そんな二人を1937年、国賓扱いで手厚く出迎え、歓迎したのがナチス・ドイツでした。アドルフ・ヒトラーは、今後もし、ドイツがイギリスを占領したら、エドワード8世をイギリス王室に戻し、イギリスを傀儡国家にしようと目論んでいたという説もあります。

 つまり、元ロイヤルという肩書きは第三者や第三国に悪用されかねないくらい大変重く、利用価値があるものなのです。小室さんや眞子さまも単純に皇室から離れさえすれば、問題解決とはならないことは理解しておくべきでしょう。いつ何時、怪しい連中が近寄ってくるとも限らないからです。

 

違法なマリファナ・パーティーに参加していた王太子妃

 小室さんが眞子さまとの結婚について「多くの人に納得」してもらうためには、私は、2001年にノルウェー王室のホーコン王太子と結婚したメッテ=マリット王太子妃の例がとても参考になると思います。

 メッテ=マリット王太子妃は、王太子と同棲を始めた当時シングルマザーで、元夫が薬物常習者として刑務所に服役中でした。これだけでも、マスコミからはスキャンダラスに報じられましたが、さらに彼女自身が、過去にこの元夫と一緒に違法なマリファナ・パーティーに参加していた事実が報道されてしまったのです。このニュースをきっかけにノルウェー国民からは結婚反対の声が多く上がり、それまで80%以上もあった王室の支持率は40%台まで急落しました。

 二人は婚約後すぐに会見を開きました。その席でメッテ=マリット王太子妃は涙ながらに過去の過ちを謝罪。さらに「過去は変えられないが未来は築くことができる」と偽らざる心情を国民に訴えたのです。この姿に多くの国民が心を打たれ、二人の結婚を祝福するムードに世論も変わりました。結婚後も、メッテ=マリット王太子妃は、公務に積極的に参加するだけでなく、自分には学が足りないと、大学に通い直すなどしています。そうした真摯な姿勢が支持され、今ではメッテ=マリット王太子妃は「ノルウェーの顔」として認知されています。

2021.05.18(火)
文=君塚直隆