本格的な数寄屋建築の茶室「清風庵」

 茶室・数寄屋造の研究第一人者であり建築家、建築史家であった故中村 昌生氏監修のもと、ホテルのメインフロアに本格的な数寄屋建築の茶室「清風庵」が建てられています。

 手水鉢やつくばい石のおかれた庭も備え、ここがホテルの中、それも空港の中であることを忘れてしまいます。竹林を吹く風さえ感じてしまう不思議な空間で日本文化の真髄に触れてみるのもまた一興です。

 もちろんレストランも充実しています。創業160年の京都の老舗「下鴨茶寮 北のはなれ」では繊細な茶懐石京料理が、また「タテルヨシノ ポルトムインターナショナル北海道」ではフランスと日本でミシュランの星を獲得した吉野建シェフ監修による北海道産の食材をふんだんに使ったモダンクラシックなフレンチが愉しめます。

 食事の後はホテル最上階にある「ザ・バー」へ。カクテルやウィスキーはもちろん、希少なシガーを楽しめる「ザ・シガーバー」も併設されています。

ゆくゆくはホテルを拠点に道内各地へ飛行機で移動も提案

 というわけで2時間にわたって館内を案内してもらいましたが、ここでご紹介したのはそのごく一部。隅々まで見どころ満載の「ポルトムインターナショナル」の魅力は泊まってみないとわかりません。

 そのロケーションからもわかる通り、当初想定されていた客層は、海外からのインバウンド富裕層。しかし昨年2月のオープン以来、その海外客を迎え入れることができた期間はほんの短い間でした。

 そう、新型コロナウィルスの感染拡大により、オープンから1カ月ほどで海外から日本への入国が制限されてしまったからです。

 「全くの想定外でございます」と苦笑する支配人の弓削さんは、それでも次のように語ります。

「海外からのお客様はお越しいただける状況にはありませんが、道内を中心に国内各地からお越しいただいたお客様から『改めて日本の美術や文化に触れてみて、その素晴らしさや楽しさに気づくことができました』などと仰っていただける事は私共にとりましても励みとなっております」

 最後に弓削さんと杉坂さんにこのホテルの愉しみ方を教えてもらいました。

 「新千歳空港に位置しておりますので、フライトの前後泊に便利なホテルという想像をされる方が多くいらっしゃるのですが、道内や国内のリピーターの方もいらして、皆さま温泉にゆっくり浸かって、スパでボディトリートメントを受けられたり、あるいは美術鑑賞や茶道体験など、ホテルの滞在そのものを上手に愉しまれてらっしゃいます。

 ゆくゆくは当ホテルを拠点にし道内各地へ飛行機で移動していただき、北海道を満喫していただくような旅のご提案もできれば、と考えております」(弓削さん)

「このホテルでの滞在が日本の文化とか伝統に興味を持たれるきっかけになればいいなと思います。

 その興味が、じゃあ次は京都に行こうとか、根室に行こうという風に『次の旅』へと繋がっていくと、お客さまの旅もさらに彩り豊かになっていくと思います。

 展示が変われば、また新しい発見があるという点も当ホテル滞在の楽しみ方になるかもしれません。

 微力ながら私どもはそのお手伝いをさせていただきます」(杉坂さん)

 現在、「ポルトムインターナショナル北海道」では開業1周年を記念したお得なプランもご用意されています。

 GWを目前にして、海外旅行はなかなか難しい今日この頃。国際線のチケットを買ったつもりで、飛行機と美術と美食、そして温泉三昧の「エアポートリゾート」を体験してみてはいかがでしょうか。

 そこには空港が旅の目的地という「究極の非日常」が待っています。

ポルトムインターナショナル北海道

所在地 北海道千歳市美々新千歳空港国際線旅客ターミナルビル 4F
電話番号 0123-45-6012(代表)
宿泊料金 公式HPからの予約でルームチャージ 36,300円~
客室数 171室
チェックイン 15:00/チェックアウト 11:00
アクセス 新千歳空港国際線ターミナル直結(JR新千歳空港駅より連絡施設使用で徒歩10分)
※wi-fi あり
https://www.portom.jp/jp/

2021.04.28(水)
文=伊藤秀倫
撮影=伊藤アキコ