すべての客室に葛飾北斎の木版画「北斎漫画」が!
いよいよ客室フロアへ。まずは全171室の同ホテルで、最もスタンダードな「スーペリアルーム」。43平米とかなり広めの客室は、モノトーンを基調にしながら、屏風や行燈など日本の美をモチーフにしてデザインが随所に施されています。
特筆すべきは、すべての客室に葛飾北斎の木版画「北斎漫画」(もちろんすべてオリジナル)が飾られていることです。
「何といっても海外における『HOKUSAI』のネームバリューと人気は圧倒的で、知らない人はいないといってもいいくらいです。
その幅広く変幻自在の作風を表すように、客室ごとに異なる絵柄と組み合わせで展示され、同じ絵はひとつもありません」(同前)
窓から滑走路を望める客室もあり、コロナ禍の影響もあって、行き交う旅客機の数は少ないながら、離発着をゆっくり眺めながら過ごすこともできます。
続いて、和モダンを基調にエアポートビューのバスを備えた「ポルトムスイート」(63平米)、開放的な窓が印象的な「ジュニアスイート」(63平米)を案内していただいた後、いよいよ同ホテルが誇る3つのスイートへ。
禅をテーマにしたモノクロの意匠で構成された「禅スイート」(130平米)、屏風絵に象徴される艶やかな日本の美で統一された「琳派スイート」(130平米)、そして部屋の中央にまるで舞台のような「数寄屋造」の和室広間を設けた最上級の「数寄屋スイート」(250平米)。
ホテルには千歳市内から「美人の湯」といわれる源泉を運んだ大浴場もありますが、この3つのスイートには、それぞれ専用温泉がつきます。
調度品も蒔絵や硯など文化財級の逸品がさりげなく揃えられ、北斎の木版画をトイレに飾るという贅沢さ。
まさに「滞在できる美術館」です。
気になる室料は、43平米のスーペリアツインならルームチャージで36,300円(消費税、サービス料、入湯税込み。時期により変動)から宿泊できます。
最上級の「数寄屋スイート」の正規料金は、なんと1泊100万円(消費税、サービス料、入湯税込み)! これまで泊まったゲストはいるのでしょうか?
「もちろんいらっしゃいます。中には客室をご覧いただいたその場で、当日のご予約を頂戴したこともございました」(弓削さん)
個人的に心惹かれたのは、ジュニアスイートです。空港を見渡せる大きな窓に面してベッドが配置されており、寝転びながら飛行機の離発着を眺められます。
飛行機好きな人なら、一晩中、幻想的な空港夜景を肴においしいお酒が飲めること、請け合いです。
これだけ居心地がよいとホテルから一歩も出たくなくなりますが、美術品以外にもホテル内で楽しめるアクテビティとして、茶道体験も人気です。
2021.04.28(水)
文=伊藤秀倫
撮影=伊藤アキコ