今、SNSを中心に一大ブームを巻き起こしている短編アニメ『PUI PUI モルカー』(以降、モルカー)をご存知だろうか。
1月5日(火)、テレビ東京系の子供向けバラエティ番組『きんだーてれび』内で第1話が放送されるや、Twitterなどでじわじわと人気に火が付き始めた『モルカー』。1月12日の第2話放送後には、「モルカー」という単語がTwitter上で50万件以上呟かれ、瞬く間にファンアートがいくつも生み出されたほどだった。
本作の大きな特徴は、劇中に登場するモルモットを模した“モルカー”と呼ばれる羊毛フェルト製のキャラクターたちの動きを、ストップモーションという技法で表現していることだろう。描いた絵をつなげて表現する一般的なセルアニメーションとは違い、実物の人形を1コマ1コマ地道に写真撮影して作り上げる技法で、制作に莫大な時間と手間がかかるのだ。
また本作は、モルモットが車として活躍する独創的な世界観であり、そこにかすかに織り込まれた毒や社会風刺が、子どものみならず大人の琴線にも触れたのである。
そこで今回は『モルカー』のエグゼクティブプロデューサー・杉山登氏にインタビュー。『モルカー』を手がけるようになった経緯や制作秘話まで詳しく話を伺った。(全2回の1回目。後編を読む)
≪杉山登氏プロフィール≫
制作会社に所属しながらドラマの助監督を務め、1992年の鈴木保奈美主演ドラマ『愛という名のもとに』にて監督デビュー。1995年テレビ朝日に入社。監督・プロデューサーとして「ガラスの仮面」や映画「ロッカーズ」などを手がけた後、アニメのプロデューサーにシフト。2006年から何作もの劇場版『ドラえもん』や劇場版『クレヨンしんちゃん』をプロデュース。2018年シンエイ動画に出向。現在、企画営業担当の執行役員を務める。
2021.03.03(水)
文=A4studio