100円ショップの「老眼鏡」をメガネのプロがおすすめしない理由とは から続く

「ブルーライトは目に有害である」。そうした認識が広まって久しいが、在宅勤務でパソコンに向かう時間が増えた現在、再びブルーライトカットメガネに注目が集まっている。今やさまざまなメーカーから商品が登場しており、カット率なども異なるが、果たして何を基準に選んだら良いのだろうか。

 基本的な知識から最新のレンズ事情まで、メガネレンズメーカー、ニコン・エシロールの直営店「ニコンメガネ」の取締役社長、加藤宏太郎さんに話を訊いた。

「ニコンメガネ」の取締役社長、加藤宏太郎さん
「ニコンメガネ」の取締役社長、加藤宏太郎さん

ブルーライトはなぜカットすべきなのか

――最初に、改めてブルーライトとは何なのか、またどのような影響を及ぼすものなのかを教えてください。

加藤 ブルーライトは、「可視光」といって目に見える光です。日本医用光学機器工業会の定義では、人間の目に見える380~780nmの波長の光のうち、380~500nmの光と定義されています。波長が短く、紫外線に近いため、エネルギーが強いのが特徴です。

――目に見える光のなかで、もっともエネルギーが強いということですか。

加藤 はい。見えているということは、目の奥の網膜まで届いているということなんですね。そのため、黄斑変性という眼病の原因となったり、疲れ目やドライアイを引き起したりする可能性があると言われています。

眩しさや、ボヤケの原因にも

加藤 加えて、波長の短いブルーライトは、空気中のホコリや水分といった粒子にぶつかって散乱しやすく、それが眩しさやチラつきの原因となります。たとえば、海やスキー場などに行くと、眩しく感じますよね? それには、太陽光に含まれるブルーライトが影響しています。

 
 

――あの眩しさも、ブルーライトだったんですね。

加藤 パソコンやスマホなどのデジタル機器から発せられているイメージが強いですが、じつは太陽光には比較にならないほど多くのブルーライトが含まれているんです。

2021.02.14(日)
文=伊藤 美玲
写真=今井知佑