今度の男、ただのおじさんやん!

 私の場合、ビビビッと惹かれて運命を感じる「一目惚れ」は、ヤバい。相手は必ず「ダメンズ」。赤い糸の出会いなんかではない、「共依存」カップル誕生のサインなのだ。

 今の私は、ありがたいことに、ダメンズホイホイを卒業した。

 「ビビビ」のサインは危険信号。そのことに気づいて、「ビビビ」どころかデートに誘われて「キモい」と思った男性とつきあってみた結果、誠実で真面目な男性と結婚したのだ。

 過去の男性遍歴を知る妹に、夫の写真を初めて見せた時の反応が、

「しーちゃんの今度の男、ただのおじさんやん! ただのおじさんやん!! ただのおじさんやん!!!」

 と「ただのおじさん」3連発! しかし今「普通であること」の大切さを嚙みしめる日々である。

一億総活躍社会なんてウソじゃん

 自分の未熟さを棚に上げて言わせてもらうと、STAP細胞について取材をしていて見えてきたのは、この日本社会の仕組みがダメンズを生み出す構造になっているのではないかということだった。

 「男」というだけで、女性よりも簡単に高い地位につき、権力が持てると思うのは私だけ? 

 つまり、凄まじいばかりの「男社会」。

「一億総活躍社会なんてウソじゃん」

 私は何度、取材の中で叫んだか! 何人もの女性研究者に会ったが、一人残らず、女性であること、それだけでひどい目にあっていた。

 まだまだ日本ではセクハラは日常茶飯事で、そのことに異議を唱える方が割りを食うことも少なくなく、多くの女性が「おかしい」と感じながらも口を閉ざしていた。

 女性だけでなく、優秀なポスドク(博士号を取得したけれど常勤ポストにつけない研究者のこと)たちがタダ働き同然で働かされていたり、自分の研究成果を上司に横取りされたりしていた。アカハラやパワハラなどなど、「STAP細胞事件」のおかげで、女性研究者やポスドクを取り巻く環境はよくなるどころかむしろ、悪くなっているとも。

2020.11.24(火)
文=旺季志ずか