土地の知恵を日々の食事に活かす、郷土料理家・minokamoさんが全国各地で教えてもらった郷土料理を誰もがつくりやすいレシピに仕立て、風土や歴史とともにお伝えします。

 今話題の料理本『料理旅から、ただいま』から、郷土料理のレシピをご紹介します。


存在感のある粒味噌で作る豚味噌

ゆで豚とゴーヤ、そしてたっぷりの粒味噌が入っている「豚みそ」。
ゆで豚とゴーヤ、そしてたっぷりの粒味噌が入っている「豚みそ」。

 泥染めという染物や、大島紬など独特な手仕事文化もある奄美大島。飲食店を回ると、山羊汁、イカスミ汁など初めて味わう料理が沢山ありました。

 今回、取材させていただいたのは郷土食を提供する「なつかしゃ家」の恵上イサ子さん。ピーナツ豆腐、長命草の天ぷら、ふくらかん(黒糖の蒸し菓子)など郷土料理づくし。その中で今回は「豚みそ」を教えていただきました。

 豚みそは、3枚肉の豚肉を塩水で1時間半茹でてカット、鍋に油を入れて豚、冬はフルと呼ばれるニンニクの葉、夏はゴーヤを炒め、ピーナツ粉、砂糖、大盛りの粒味噌を強火で炒めてできあがり。

 粒味噌は具と同じくらいかと感じるほどたっぷりで存在感もしっかり感じるコクある一品。豚味噌にも使った味噌は、味噌汁用とは違う奄美独特の「粒味噌」。お茶請けやおかず用の味噌で粗引きの大豆が独特の食感です。

 この味噌で魚やイカと和えた「魚味噌」や「イカ味噌」という定番料理もあります。

「なつかしゃ家」の恵上イサ子さん。
「なつかしゃ家」の恵上イサ子さん。

2020.11.27(金)
文・撮影=minokamo